第23話 再会

 3人は教会でゴスベルを歌った後で、そばにある広場を通った。

 そこでジェフが仲間とスリーオンゲームをやっていた。

「やあ梨花、久しぶり元気そうだね」

「うん、まあ調子はいいみたい」

「ねえ、2人には悪いけど、梨花をプロムに誘ってもいいかな」

 2人は驚きもせずに、こうなることは分かっていたような態度だった。

「ええ、でも3人で行こうって」

 梨花は2人を見て、困ったように返事をした。

「梨花、遠慮しないでよ。実は2人共、相手がいるのよ。ねえマリア」

 マリアはそう答えると、リムの肘を引っ張った。

 梨花は、何が起こったか状況が飲み込めなかった。

「ごめんね梨花。実はジェフに頼まれて、梨花をここに連れてきたの。ねえリム」

 2人はお互いに顔を見合わせて、相槌をうった。

「もちろんジェフとプロムに行くよね」

 マリアがジェフと2人でいくことを梨花に促し、リムも同じく迫った。

「どうしようかな?」

 答えに困って迷っている梨花を、ジェフはじっと見つめた。

「あの事があってから気まずいの?」

 マリアが尋ねた。

「ううん、まあ」

「ねえ梨花、ジェフは卒業したらシカゴに行っちゃうらしいよ」

 リムが、煽る理由を告げた。

「ほんとなの」

 梨花は、驚いてジェフの方を振り返った。

「ああ、バスケットのGリーグに入るのが決まってさ」

「凄いじゃない。おめでとう」

 梨花は戸惑いながらも、笑顔でジェフを祝福した。

「君だって、パーソンズに受かったって聞いたよ」

 ジェフは照れながらも、梨花を褒めた。

「ねえ梨花。まだ、迷っているの?」

 リムとマリアは、梨花にペアでの参加を勧めた。

 梨花は、思い切ってジェフに告げた。

「わかったわ。ジェフ、一緒にプロムに行こう」

「嬉しいよ。ありがとう」

 ジェフは感激して、梨花の手を強く握った。

「ジェフ、上手くいってよかったね」

 マリアが祝福した。

「ああ、君たち2人のおかげだ。プロムが待ちどおしいよ」

 ジェフは興奮して天を仰いだ。

 それから、2人の手を取り感謝の気持ちを伝えた。

「うわー!梨花の作ったドレスを見るのが楽しみだな」

 リムが楽しそうに言った。

「あーもう、早くプロムにならないかな」

 マリアが、大げさに拳を握って叫んだ。

 プロムの当日女子達3人は、梨花の家で支度をして、パートナーが迎えに来ることを待つことに決めた。

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