第15話  リムの家族

リムの将来の父親の影響もあって、職業は会計士と決めていた。

でも、パンデミックでシンガポールに住んでいる、祖父の営む東洋美術の骨董店の経営が大変ことを知った。

 祖父が長い時間をかけ、苦労して集めた骨董品が買い叩かれるのは悲しかった。

大好きな祖父の力になりたいと、SNSで発信して、アメリカで祖父の店の知名度を上げる手助けを開始した。

 祖父の写真を面白く加工して、編集作業で字幕にダジャレを入れた映える動画は、SNSでも面白いと評判になり、店のホームページのアクセス数も増えて問い合わせも増えてきたと祖父からメールが来た。

 これで、少しは売り上げに貢献することができるかもしれないと思い、リムは嬉しくなった。

但しSNSで評判になると、質問も増えるようになった。

リムはそれに答えることができなく、いつも祖父に相談していた。

リムは、専門的な知識が足りない事を通説に感じていた。

もっと勉強しなければ、祖父の力にはなれないと。 


リムは子供の頃から、夏休みは毎年シンガポールで過ごしていてた。

祖父の店は、リムの遊び場になっていた。

そのせいか、少しは骨董を見る目はあった。

リムの父親はファンド会社のマネジャーをしていた。

その影響で会計士を目指し、起業家の独立を応援したいと思っていた。

でも、楽しそうに洋服のデザインをしている、梨花を見ていると羨ましかった。

リムは会計士になることが、本当にやりたい事なのか疑問が出てきた。

祖父の手助けをすることは、とても楽しかった。

だから本格的に、骨董の勉強をしてみようかと考え始めた。

 芸術家になるのではないから、今から軌道修正しても遅くはない。

アートマネージメントを学べばいいだけだ。

幸いにシンガポールには、歴史のある南洋芸術アカデミーがある。

 大学はシンガポールにすると決めていたから、リムはそこで学ぶことを決意した。

リムに必要な事は、骨董の目利きになることだ。

バイヤーとは骨董や絵を手放す人と、欲しい物を探す人の仲介をする仕事で人助けにもなる。

それは骨董だけでなく、芸術を未来に残すことに繋がる。

オークションは一歩間違えれば投機的になるが、歴史的な価値のある物を守ることにも繋がる。

それこそが本当の投資で、SDGSだとリムは思った。

投資とは株やファンド、仮想通貨だけではない。

後は両親を説得するだけだ。

リムは、なんだかワクワクしてきた。

 マリアや梨花にも、相談してみようと考えた。

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