第13話 救済のクラウドファンディング

 姉の可奈はパソコンの前に座っていた。

 そばには、真の兄夫婦と祖父母がいた。

 真の怪我の状態を知るために、ズームでニューヨークと繋ながるのを待っていた。

 時差はマイナス14時間だ。

 今は朝の6時だが、農家なので朝が早く朝食も済んでいた。

 ニューヨークは午後4時だが、沙羅の休みは週休4日の状態が続いている。

 パソコンが繋がり画面には、沙羅と子供達の顔が写った。

 なぜ怪我をしたかは梨花がメールで、細かく伝えていた。

 沙羅が真の現状を伝えると、画面を日本のみんなが映るように切り替えた。

 パソコンの画面には現状を把握して少し安心した、みんなの顔が写っていた。

 日本では、治療費の心配をしていた。

 祖父母は、親心で入院費を援助したいと言ってきた。

「気持ちはありがたいのですが、後で彼と相談してみます」

 沙羅はそう答えた。

 先の見えない不安な世の中で、仕事がどうなるかはわからないので、なるべく借金はしたくないのが娑羅の気持ちだ。


 一週間後に、日本にいる可奈から連絡が来た。

 大学の友人と相談して、日米でクラウドファンディングを行い入院費の調達をしようという案だ。

 沙羅は可奈の提案に同意した。


「やっぱりお姉ちゃんは頼りになる。これできっと大丈夫だよ」

 梨花は、沙羅を励ました。

 

 その後も病院では沙羅が着替えを持って行き、看護師に手渡しすることできなかった。

 だが、偶然にもマリアのお母さんの働いている病院だったことが分かり、病室での様子をビデオレターとして毎日送ってもらう事ができた。

 真の兄夫婦はマリアに感謝をして、お礼として浴衣を送った。

 受け取ったマリアの家族は、感激して浴衣を着た動画を送って見せてくれた。

 

 真のバンド仲間も加わったクラウドファンディングでは、予定以上の金額が集まった。

 真の怪我は指を庇ったこともあり、サックスは吹けると医師は話した。

 1ヶ月後に真は、退院できるくらいに回復した。

引きずられた時の足の骨折は治ったが、まだ少し足を引き摺っていた。

車椅子で病院の屋上でサックスの練習もしていたので、近いうちにライブ活動をすると張り切っていた。

  でも、事件から半年経った今も、犯人は捕まっていなかった。

真はお世話になった人達にライブで恩返しをしたいから、手伝って欲しいと仲間に頼んだ。

バンド仲間は快く同意した。

 ライブは、パンデミックの余韻がまだ残っていたのでユーチューブでの配信にした。

 スーパチャットの投げ銭も集り、かなりの反響を呼んで成功した。

 この日のお金は、クラウドファンディングで集めて入院費を払った残りと合わせて、社会貢献に使おうと家族や仲間たちと決めた。


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