第7話 ヒップホップ・ダンス

 月曜日の授業が終わると、梨花、リム、マリアの3人はアリーナとダンスの行われている体育館に行くことを約束していた。

今日はここで、民族ダンスの授業の説明会をする予定だ。

体育館では、いろんなダンスの課外授業が行われている。

梨花は約束の時間より少し早かったので、前のクラスのダンス授業を見ていた。

そこでは、ガールズのヒップホップのダンスが行われていた。

梨花はヒップホップダンスを子供の頃に習っていたが、踊りのスタイルはキッズダンスでボーイズダンスのスタイルが元となっていた。

いま目の前で踊っているのは、ガールズダンスでお尻と胸を強調する、セクシーなダンスだ。

ミュージックビデオの女性のバックダンスは、殆どがこの種類のダンスだ。

梨花はボールが弾むような、パワフルなダンスの迫力に圧倒された。

踊りだけでなく梨花は、ダンスファッションにも注目をした。

動き易くいのはもちろんだが機能性なだけでなく、個性的でオリジナリティが有りカッコよかった。

梨花はその中で、一際上手な黒人の女子のダンスに目が釘付けになった。

プロと言ってもいいくらいに、キレのある踊りでリズム感と躍動感があった。

梨花は自分も、あんな風に踊れたらいいなと思った。

そこへアリーナがやってきた。

「ハーイ梨花。ヒップホップダンスは、楽しそうで踊りたくなるわね」


「アリーナはバレエをやっていたのだから、すぐに踊れるでしょう?」


「ううん、そうでもないわよ 」


「でも、あの子カッコよ過ぎるよね」


「彼女は、イヴォンヌよ」

 

「チョー、うまいね」

梨花は羨ましそうに、アリーナに話した。


「梨花、一緒に挑戦してみようよ」


「うん。それって、面白いかも」


アリーナはイヴォンヌに話しかけた。

「はーい、イヴォンヌ。ヒップホップダンスを習いたいけど誰に話せばいいの」


「ふん、あなた達には無理だよ」

バカにしたような、イヴォンヌの返事に梨花は驚いた。


「私はこの授業のリーダーのイヴォンヌよ。アジア系や白人には踊れないね」


「黒人にしか踊れないっていうの? 」

アリーナは声を荒げて、イヴォンヌに食ってかかった。


「リズム感と、体幹が違うんだよ」


「あなたには言われたくないわ。参加は誰に言えばいいの」


「あそこに講師がいるわ」

イヴォンヌは指を指した先に、講師が他の生徒と話をしていた。

アリーナは言われた方向に歩いて行き、講師に参加の申し込みをした。


来週からの参加することで、アリーナは承諾をとってきた。

そこへ遅れて、リムとマリアがやってきた。


「アリーナとヒップホップダンスを習うことにしたの。リムとマリアもどう?」


「ううん、私は他の課外授業を受けたいから、パスするリムはどう?」


「私も他の課外授業に参加したいから、パス」


「残念、じゃあ、アリーナと2人ね」


「2人の検討を祈るわ」

こうしてアリーナと梨花は、ダンス友達になった。


梨花にとってハイスクールでは、白人と友達になるのは初めての事だった。

セカンダリー・エディケーションとプライマリ・エディケーションの時には 何人かいたが、今ではたまにメールをする程度の間柄になっていた。

やはり白人とは見えない壁が存在していた。


こうして課外授業も決まり、梨花達のフレッシャーズライフは本格的に始動し始めた。

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