第27話:元首公王:アラキヤストモ視点

20XX年4月17日:伏見神社ダンジョン98階:荒木保知55歳視点


 ホワイトナイトのネゴシエーターが、国連の承認は俺の想像よりもはるかに早いと言っていたが、それでも数カ月はかかると思っていた。


 ホワイトナイトの要求通り、俺の戴冠と建国を認めた順に、1日100人以内の延命治療か若返り魔術を認めた事が、驚くべき結果を生んだ。


 その日の内に国連が安全保障理事会を開き、中国、フランス、ロシア連邦、イギリス、アメリカの常任理事国が拒否権を使う事もなく、満場一致で認められた。


 正直信じられなかったが、世界中の新聞やテレビで取り上げられているから、夢でも幻でもなく、間違いない事実のようだ。


 笑ってしまうが、形式上は俺とアメリカ大統領、中国党総書記が同格なのだ。

 指導者が高齢なアメリカや中国が認めたのは分かるが、フランス、ロシア連邦、イギリスの指導者がこうも簡単に認めるとは思わなかった。


★★★★★★荒木保知とホワイトナイトの特使の会話(伏見神社ダンジョン98階)


「条件は丸投げしたが、結果はどうなったんだ?」


「それほど難しい条件ではありません。

 優先順位と実際の行使時期は相手の希望を優先させます」


「それは、まだ死に直面していない者は、若返り魔術を温存できるという事か?」


「そうです、中国の四氏族の中には、まだ元気な人もいます」


「四氏族という事は、一国で四人以上を若返らせるのだな?」


「今回の交渉で決まった人数は、一国で最高8人です。

 常任理事国で8人、非常任理事国で2人、3王家が4人です」


「思っていたよりも少ない人数ですんだのだな」


「総会で決める事になっていたら、とんでもない数になっていたでしょう。

 安全保障理事会で決める事になったので、この人数でおさまりました。

 国連も常任理事国も、ショウヘイの若返り魔術を利用したいのです」


「俺を取り込んで、若返り魔術を自分達の力にする気か?」


「はい、核兵器と同じです、特定の国だけが持っているから力を振るえるのです。

 それと、ショウヘイが到達不可能なダンジョンの奥深くにいるのではなく、王として国際社会に出るなら、利用できると考えているのでしょう」


「俺はダンジョンから出ない、自分と母の安全を最優先にする。

 手に入れた国は、そうだな、不法滞在者が安全に暮らせる国にする。

 それと、ホワイトナイトのメンバーで希望する者がいるのなら、国籍を与える」


「その方が良いでしょう、戴冠式もダンジョン内でやられるのですか?」


「俺はキリスト教徒ではない、神や教皇に認めてもらう必要はない。

 だが、そうだな、何か儀式をして世界中に配信しないと周知できないな。

 世界中の王や元首を迎えての即位式は後日行うとして、明日にでもダンジョンにいる者達を集めて即位式を行おう」


「私としては、時間がかかっても、各国の元首を迎えての即位式を1度されるだけの方が、良いと思いますよ。

 先に内輪だけの即位式を行ってしまうと、それも世界中に配信してしまうと、各国元首の集まりが悪くなってしまいます」


「だが、俺が王になった事は1日でも早く知らせた方が良いのではないか?」


「そういう考えもありますが、ダンジョンに集まっている人たちは平民です。

 それも、とても貧しい人がかなりの割合でいます。

 ショウヘイの元首としての格が下がってしまうと思うのです」


「だが、3人の王は若返りを急いでいるのだろう?

 アメリカ大統領も中国の老指導者も若返りを急いでいるのだろう?」


「そうですね、万が一にも若返らせる前に死なれるわけにはいきませんでした。

 分かりました、明日にでも即位式を行いましょう。

 ただし、既製品で良いので、ダンジョンの人たちに礼服を着せてください」


20XX年4月18日:某動画配信サイトの某ライブ配信チャンネル


★★★★★★


 711:名無しP

 ウソだろう、ショウヘイが王になるのか?


 712:名無しZ

 王になる前に、三カ国が領地を割譲するってなんだよ?!


 713:名無しE

 若返りたいんだろう、死なずにすむなら領地くらい割譲するさ。

 領地と言っても小さな島1つだろう?


 714:名無しN

 いや、いや、小さな島1つと言っても、経済水域がついてくる。

 とんでもない利権なんじゃないか?


 715:名無しK

 その中には海底の資源もあるじゃないか?


 716:名無しA

 紅海の島なら、海底油田があるかもしれない。


 717:名無しC

 N国も産油国だろう?

 島を掘ったら油田があった、なんてなるんじゃないか?


 718:名無しZ

 すげぇなぁ~、元は引きこもりだったんだろう?


 719:名無しV

 引きこもりかどうかは知らないが、ダンジョンアタッカーだったのは確かだ。


 720:名無しN

 俺も本気でダンジョンアタッカーになるか?

 上手く行ったら王になれるかも?


 720:名無しB

 むり、むり、むり、遅すぎる。

 誰にもできない事を最初にやったから膨大な利益を得られたんだ。

 これまでトップにいたダンジョンアタッカーが、死に物狂いで後追いしているんだ、今から初めても絶対に追いつけない。


 721:名無しH

 王になろうとは思わないが、若返りの魔術は覚えたい。


 722:名無しK

 そうだな、ショウヘイのようにはなれなくても、若返りの魔術は覚えたいな。


 723:名無しZ

 若返りの魔術は覚えられなくても、それなりの金持ちになれるんじゃないか?


 724:名無しV

 これまではダンジョン病が怖かったが、今ならショウヘイに治してもらえる。


 725:名無しN

 ダンジョン病になるくらいダンジョンで狩りをしたら、数十億は稼げるよな。


 726:名無しK

 数十億ではきかないだろう、数百億は稼げるだろう。


 727:名無しA

 ダンジョンアタッカーが増えたら、ドロップが暴落するんじゃないか?


 728:名無しC

 買取値段が下がっても、食料も毛皮も燃料も手に入るぞ。


 729:名無しZ

 ショウヘイのようにダンジョンで暮らせば、衣食住には不自由しない。


 730:名無しA

 なにより、リョウのような連中が一掃されてダンジョンが安全になった!


 731:名無しC

 よっしゃー、俺もダンジョンアタッカーになるぞ!


 732:名無しZ

 おい、ショウヘイの即位式が始まるぞ!


★★★★★★


『第6回ドラゴンノベルス小説コンテスト』用の異世界ファンタジー小説


「死にたくない、若返りたい、人生やり直したい、還暦親父の異世界チート無双冒険譚」を投稿しました。


https://kakuyomu.jp/works/16818093076272674835/episodes/16818093076272754255


試し読みとフォローを、出来ましたら、面白ければ☆☆☆を、面白くなければ☆をお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る