第59話 ゴーレムパーティ

「禁制品のゴーレムを生産しているヤツラがいてな」


とある小国で製造を禁止されているゴーレムを作っているという情報が入る。ゴーレムはかなり強力な兵器。物理だけでなく魔法攻撃のダメージも緩和。装備は様々で剣や大砲のようなものを身に着けているゴーレムもいる。作成は簡単、金はかかるが錬金術師のように誰にでも作る事ができる。過去悲惨な戦争を引き起こしたため、この世界では製造を禁止している。判明したのは流通から。国が金属を大量に買い込んでいて、それが気になり調べてみると密造が発覚。


「秘かにゴーレムの破壊を頼む」


複雑な事情を抱えている。新興国で、この国の王女が嫁いでいたり他国も積極的に支援をしていた。各国が話し合いの末、ゴーレムを破壊して反省するなら不問にしようということに。


「頭に文字が彫られている」


あー、あの有名なやつね、それなら余裕か。忍び込んで静かに破壊工作となると骨が折れるからね、派手にやるのは得意だけど。密造している国まで移動、こっそりゴレーム工場に侵入。


「へー、こいつがゴーレムか」


全長十メートルはある巨大な金属の人型兵器。こんなものが暴れたら確かに厄介だな、一般人では対処できない。早速破壊工作を、階段を上がり、ゴーレムのおでこまでのぼる。


「あー、参ったな」


額には「menial」という文字が彫り込まれている。俺が知っている話と文字が違うぞ。いや、落ち着け、同じ作りなら同じやり方が通じるのでは? えーっと確か、まずい、元ネタもうろおぼえだ。頑張って思い出せ! ……そうだ、eの文字を消すんだったな。文字の位置は真ん中だったはず。「menial」は真ん中が二つか、ならniを取ってmealにしてしまえば。よしそれっぽくなってきたぞ。ライズを使い文字を握りつぶす。するとゴーレムに変化が。淡く光ると、金属の塊に。よく見ると薄い金属が重なっているようだ。金箔ほどの薄さに変化している。よくわからないが無力化には成功した! すべてのゴーレムの文字を破壊し薄い金属に変化させた。こうして俺達は任務を完了、帰宅する。あれからゴーレム工場は解体されたようだった。ゴーレム騒動からしばらく経過。


「またゴーレムを作っていたらしい。今回は以前よりも大規模に、巧妙に隠しながら作っていたから発見が遅れてしまった」


自国で金属の山を掘り当て、それもあって発見が遅れてしまったとルーラーさん。


「もうじきゴーレム兵団が他国へ進行する。ハジメ達はゴーレムの破壊を。今回は派手にな」


強大な力を見せることで他国を牽制、今後こういった悪さをする国がでないようにするための対処。ゴーレムは全自動、狙った物を破壊するまで止まらない。おかげでこちらもやりたい放題。戦地へ移動、戦いの準備を。


「ゴーレム兵団動きました!」


ゴーレムの進行が開始される。そして俺達が彼らの前に立ちはだかる。皆足並みをそろえ行進している。


「サシャ、景気づけに一発頼むよ」


剣を抜き中央に向かってフルスラッシュを発動。地を割りながら進む剣圧、ゴーレムが被弾、簡単に弾け飛び金属の塊に。飛び散った金属がゴーレムに被弾し破壊していく。ボーリングのように次々にゴーレムを倒し潰していく。いやー、爽快な眺めだね。こうして戦闘が開始。エルが付与術を発動、各自に配る。リーナの弓がゴーレムの頭を吹き飛ばす。近寄ってナイフ攻撃、一刀両断、簡単に倒してしまう。エルの魔法攻撃、アイススピアがゴーレムに突き刺さり豪快に破壊。俺もゴーレムを破壊しながら様子を見る。皆余裕だな。このゴーレム達はかなりの強さのはずだ、本当に強くなったんだな。感慨に浸りながらゴーレムを破壊していると後方から何者かの気配がした。


「おう、楽しそうなことしてるじゃないか。混ぜてくれよ」

「はっはっは、豪快に暴れられると聞いてな」

「まだ忙しいけどこのために空けてきました!」

「本気を出せる機会ってなかなかないんだ」


サークさん、ウィリアムさん、ロミカ、サウザンドさんが駆けつけてくれた。ウィリアムさん出てきたのか。まあ強者がかなりいるしね、引きこもっている理由もない。四人も暴れ始める、皆楽しそうだ。強くなると制限しないと地形を変えたりしちゃうからね。今回は手加減無しで戦える。たまには思いっきり戦ってみたくなる。


「圧倒的だな」


蹂躙されるゴーレム達、戦いになっていない。こうしてゴーレム兵団は全滅。辺りは金属とえぐれた地形が残った。


「もう少し地形を変えておくか」


ここから海が近い。海が侵食するくらい地形を変えてしまおう。アイススピアで穴を掘り爆発させ穴を広げる。このように地形を破壊、平地の半分が海に沈む。


「あーっはっは、ハジメといると退屈しないな」


楽しそうに笑うサークさん。皆は引き気味、ちょっとやりすぎたかな。


「まあ酷ければ酷いほどいいから」


街に帰る。後日ルーラーさんからの報告、結局、反省の色なしと国を潰してしまったようだった。力を手に入れると試してみたくなるのはわかる。できれば迷惑がかからない程度に試さないとね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る