第46話 最強魔法! 隕石落とし!
オリファンの数あるスキルの中でぶっちぎりの最強のスキル、メテオフォール。その名の通り隕石を落とすスキル。強いが発動して効果が出るまで時間が異常にかかるため実戦で使われることはまずなかった。こちらの世界でも魔法使いの奥の手といった扱い。制作者側もお遊び魔法といった感じのスキル。こういった遊び心は好き。
「魔人の国中心部に撃ち込む」
魔人の国はかなり巨大な都市。俺が暮らしている街よりも大きな規模。山脈奥地に位置し、攻め込むのは困難。飛ぶことを前提として作られているためもし勝利しても人間には扱いづらい土地。山賊や盗賊が強引に住処にするくらいだろう、そうなるくらいなら粉々に潰してしまうほうがいいといった結論のようだ。ということで破壊の許可はすでにもらっている。メテオフォールを試すなら後にも先にもここしかない。周りが山脈だからある程度隕石が大きくても抑え込んでくれるだろう。協力者達が安全な場所まで移動したのを確認、いよいよ魔法を放つ、緊張の一瞬。
「メテオフォール!」
発動したがなかなか落ちてこない、まだかな。いくら最強でもこれでは使えない。メテオが届く頃には戦闘が終わっている。動物達が森から逃げ出している、危険を感じているのだろうか。動物達は人間よりも鋭いと言うけれども。お、隕石が見えてきた。ちょっと大きいかな、かなりの威力が出そうだ。と思ったけど予想よりも遥かに大きいかも。……いや、でかい、でかすぎる!
「ま、まずいぞ。このままだと世界が滅ぶ!」
ついに姿を現した巨大隕石。炎の尾を垂れ流しながら地面に向かって接近してくる。これなら間違いなく魔人の国を吹っ飛ばせるだろうが、この世界も吹っ飛んじまいそうだ。やってしまった! 付与術をフルスキル使い強化、隕石に向かって飛び上がる。魔法を撃ち続ける、少しづつ隕石を削る。かなりのデカさのためなかなか削れない、このままだと間に合わない。時間稼ぎをしないと。
「グラビティマニューバー!」
重力で敵を押しつぶす魔法。それを隕石の速度を落とすために使用、ほんの少し落下速度が落ちた。
「タイムソリッド!」
時間を止める。とにかく時間を稼ぎながら隕石に攻撃。削りまくれ!
「パイルガード!」
隕石に対して盾スキルを発動。盾を破壊され弾き飛ばされる俺。かなりのダメージを負ったが勢いが少し落ちたかな。
「テンペストウェーブ、アビスクエーサー、黄金体撃!」
様々なスキルを使い隕石を削っていく、そしていよいよ地面に激突。
「逃げなくては!」
天に輝く太陽よりも激しい光を放ち、地上は大きく揺れ激しい衝突音が発生。俺はその衝撃波に吹き飛ばされる。大地に叩きつけられ、岩にぶつかり深く埋まりようやく止まる。魔人の国からは煙が上がっている。他は被害がなさそうだ。ふぅ、よかった、俺の魔法で世界を滅ぼすところだった。今後はメテオは使わないようにしないとな。
「皆さん、人類の敵魔人はついに滅びました! 勝利の美酒に酔いましょう!」
こうして魔人は全滅、人類と魔人の戦いはここに終結する。 世界の人々と肩を寄せあい酒をあおる。
「飲め飲め!」
辺りには酔って倒れた人々が多数転がっている。流石に羽目を外し過ぎではと思ったがよく考えたら人のことは言えないな。好きに飲んで! 今回もルーラーさんは説明に苦労したようだ。まあ国も化け物クラスの人間を雇っているから話はわかるようだが。世界が滅びそうになったのは秘密にしておいた。この件は誰にも話せないな。
「ふん、つまらん。人類の勝利か。まだ魔人のほうがマシだ。……死ぬか、どうせなら派手に、確か強化魔獣を食べると爆死するらしいな、悪くない。うん? ふとした疑問なんだがその強化魔獣は何を食べ変化したんだ?」
魔人戦争が終わり、各国の人々は自分の国へ帰っていく。居心地がいいと残る人もいれば、他国の人についていく人も。魔人は厄介だったが各国交流できてよかったようだ。
「ほぼ一人で片付けてしまうとはね」
「まあよくあることではあるけど」
一夜明け皆と朝食、半分呆れながら三人が俺を見る。狩りを終え、ルーラーさんから呼び出されお店へ。
「イデオが死んだそうだ」
「そうですか」
死因は症状からして心臓麻痺。結構歳だったからな。彼としてはあっけない最後だな。厄介事が一つ無くなって嬉しい反面、人の死を喜ぶのはなんだか虚しいな。話を終え店から出る、ため息を漏らし、仲間達が待つ宿へ。
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