第37話 魔法の国
「見えてきた」
「雰囲気あるな」
馬車に揺られながらの旅、ついに魔法の国の魔法都市に到着。周囲は山に囲まれ更に城壁築き、いざ戦いになれば難攻不落の城塞都市に。四方に巨大な塔が立っている。灯台のように最上部が光っている。薄っすらと膜のような物が街を覆っている。バリアでも張っているのかな。街の中に入る、魔法都市だけあって魔法使いが多い。もちろん他のクラスも多数いる。
「ここがこの国の魔法学園か」
「大きい」
かなりの規模の学園。中は小さな街のようになっていて学園内だけで暮らすことができるという。安全で、色々学べるとあって他国からも魔法使いの卵達が多数来ている。主にお金持ちや貴族の子が多いようだ。一般にも開放している。
「この宿か」
レヴィさんから指定されている宿に。手続きをして金を払う。俺達はあくまで冒険者の旅行者。学園から使者が来て細かく説明ということはない。翌日、宿屋の主人から手紙を受け取る。手紙には二日後、冒険者ギルドに行きエルを仲間にしてくれといった内容が書かれていた。彼女を直接見ていないが描かれた絵なら確認済み。時間が細かく設定されている。誘い方も凝っている、男達に囲まれ無理やり仲間になれと勧誘うしているところを俺が助ける。ここまでやるのか。確かに接点がまるでないからな。困っている子を助けて仲間になるのなら自然な流れではあるな。他仲間後のことも書かれている。エル勧誘当日、ギルドに先に入り彼女を待つ。エルが入ってきた。ここでジロジロ見てはいけない、まだ知らない子だからね。三人で談笑していると彼女が男達に囲まれ出した。よし、ここだ。俺達はエルの救出に赴く。
「嫌がってるじゃないか」
「ふん」
男達は諦め帰っていった。うまいこと演技ができたかな。エルに一旦ここから出ようと提案。そろそろお昼が近いから一緒に御飯を食べることに。
「改めまして、エルです。先程はありがとうございました」
「いえいえ」
話をして意気投合、したように周りに見せかける。こうして魔法使いのエルが仲間になった。仕組まれすぎていてどうにもしっくりこないが一緒に戦っていくうちに慣れるだろう。この先はしばらく魔法都市で狩りをしてまたいつもの街に戻るといった予定。ここは中級者向けの魔獣が少なく狩り場的に美味しくない。冒険者ギルドへ行き簡単な依頼を受け街を出る。少し歩いたところで先程の男達が俺達の前に。すぐ近くに森があり人気が少ない。エルに関しての説明をしてくれるのかな。
「さっきはどうも。へへ、ここなら助けは来ねえぜ」
ニヤニヤと笑う男達。ん? 頭が追いつかない、どゆこと。サシャが耳打ち、彼らは本当に迷惑冒険者だったのではと。おいおい、お相手が遅刻したってこと? 勘弁してよ。とはいえ降りかかる火の粉は払うしかない。
「君、かわいいね」
サシャに手を伸ばす男。近づいた手を掴みひねり、足を蹴り、背中を足で踏み抜き、地面に叩きつける。容赦ないな。それにしても流れるような動き。剣士だけど剣がないときの戦いも少し勉強していると言っていた。相手は全員魔法使いの男達。腕力はダメそうだ。動きも鈍い。
「何しやがる!」
襲ってくる男達。銃を抜き手を後ろに回して発砲。スキルを使い相手の杖を撃ち抜く。後方から弾丸が襲ってきたことで男達は後ろを警戒する。
「俺達だけじゃないぞ」
「くそっ、覚えてやがれ!」
と言って逃げようとしたのだがリーナ達が彼らを許さなかった。後ろに回り込んで指の骨を鳴らす彼女達。彼らはボコボコにされる運命だったようだ。
「ぼ、ぼうしません」
仲間達は地面に刺さっていたり、ケツを出していたり。これで懲りて女の子に無理やり手を出さなくなればいいけど。そのまま狩り場へ。さて、魔王が目を覚ますかどうかだな。直接魔法都市の人達は見張っていないが、ある程度近くで彼らも活動中。もし異変が起これば駆けつけることになっているが。
「さっきはこの銃で?」
「ああ、色々あってね」
銃に興味を示すエル。手にとって彼女に渡す。何の変哲もない魔法銃だけどね。そして突然彼女は銃口をこめかみへ。そして引き金を引く。
「タイムソリッド!」
間一髪、時を止め彼女の自殺を食い止めることができた。それにしても自殺とは。思いもよらぬ行動だ。てっきり彼女の体を乗っ取り、悪さをするものだと。サシャもおかしいと考えているようでこのまま狩りを続けながら彼女の話を聞こうということに。
「おいおい、大丈夫か。銃の暴発には気をつけないと」
適当なことを言って彼女から銃を取り上げ、サシャと抱え上げる。
(魔法都市の奴らに突き出さないのか)
声が違う。二十代くらいの女性の声かな。おそらく今の彼女は魔王だろう。
(アンタが魔王か。いきなり自殺しようとした真意が知りたくてね)
(……話が分かるようだな。会ったばかりで信用はできないが君たちに身を委ねる他ないようだ。わかった協力しよう)
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