第36話 魔王
「お疲れ様。これは道場卒業証だ。卒業後も当然学ぶことはできる。もっと技術を学びたい、自分の技術に自信がなくなったりしたらまた来るといい」
ついに騎士道場を卒業。サシャも基本は学び終えた。後は自主訓練をして日々精進あるのみ。レベルは12、中級者の仲間入りに。ギルド試験も受かり現在星二。装備の一新をする。全員鉄シリーズに更新。リーナは錬金術中級を勉強中。いくつか受かっている。これからは午後も狩りができる。レベルは今より上がりやすくなる。金策もしやすくなる。お金は結構持っているけどね。ルーラーさんからお祝いとして三人お店に呼ばれた。好きなだけ飲み食いしていいということで三人ともリミッターを外す。その前にお話が。
「今回は仕事の依頼ではないんだが。確かまだ三人だよな?」
「はい、そうですが」
「魔法使いの子を入れてやって欲しいんだ。もちろん強制ではない。まだ魔法使いがいないようだからいい話だとは思う。まあ訳アリの子なんだけどな」
詳しくは教えてもらえなかったがハジメなら大丈夫だろうとルーラーさん。力押しでなんとかなるってことかな。そんな状況だからなかなかPTを組めず困っているとか。ふーむ、魔法使いなら欲しいか。仲間がもう一人二人欲しいとは思っていた。二人も同じ意見のようだ。わかりましたと答える。
「魔法学園へ行ってくれ」
魔法学園は道場と同じような場所。ここでは一年間学問、戦闘知識、実戦と幅広く教えている。卒業すると中級者冒険者として行動することになる。魔法学園は魔法の国のシステム。この国とは昔から友好関係にある。魔法は強いが、本体の人間は強いわけではない。そのため育成には苦労していたが学園を建ててから魔法使いの育成がうまくいくように。現在問題の女性徒はこの国に居ない。彼女の姉で魔法使いの先生をしている女性から話を聞くことに。
「さーて飲むぞ!」
三人とも後のことはルーラーさんに任せて飲み食いをする。気がついたら三人ともいつもの宿屋で寝ていた。
「せめて意識は残しておかないとねぇ」
女将さんに説教される。二日後、魔法学園へ。制服を着た学生さんが学園から出てくる。
「それでね」
「へ~」
いいな、女子高生みたいだ。それにスカートが妙に短い。服装も胸元が開けていてへそ出し。どうなってんだこの学園!
「可愛い子達だねぇ」
「か、変わった服装だな。おっとそろそろ時間だ急ごう!」
守衛さんにルーラーさんから貰った通行証を見せ学園内部へ。あらかじめ地図を見ていたから場所は把握済み。ここかな、中を見ると魔法使い風の女性が座って待っていた。見覚えがあるな、そうだ、宿屋とギルドで見た人だ。
「失礼します」
「初めまして、姉のレヴィです」
仲間にする前に話があるという。秘密の話で、誰にも言わないでほしいと告げるレヴィさん。そして少々ショッキングな内容が含まれるとか。訳アリとは聞いていて覚悟の上、問題ないと答える。彼女はレアスキルを持っている。それが悩みのタネのようだ。
「レアスキル「魔王」、彼女が持っているスキルです」
過去このスキルを持っている者が居た。そしてその者は魔王となった。魔王の力は全魔法を使用可能というとんでもないチートな力。過去、人類とレアスキル魔王を持った者が戦った歴史がある。圧倒的な力で人々をねじ伏せる魔王。当時、まだ国ではなかった魔法使いの街の長が見事魔王討伐に成功。こうして魔法使い達は力を認められ国を作る。
「その時は、レアスキル魔王を持った人間を殺してしまいました。ですが今回は分離することが可能なんです」
レアスキルを使い、彼女と魔王を分離することができるようだ。しかし、このスキルを使うには彼女の中の魔王が起きなくてはならない。魔王は意識を持ったレアスキル。二重人格のようになるってことか? PTを組み、もし覚醒したら、報告してもらいたいとの話。いや、流石におかしい。そのまま覚醒するのを待つべきなのでは。察したように語るレヴィさん。
「すでに覚醒している可能性があるのです」
「そういうことか」
覚醒しているがずっと見張りがついているから寝たふりをしているってわけだ。いくら魔王とはいえ何の準備もなく多数の魔法使い相手では分が悪い。俺達低レベルPTなら油断して覚醒するのではと。なるほど、なかなか危険な内容だ。一般の低レベル冒険者にはやらせられないな。
「その話お受けしましょう」
彼女達も目立ちたくはないようだ。もし魔王と知れると大変なことになるからね。あくまで自然に仲間になったとしたい。設定としては魔法使いの仲間が見つからない、どうせなら本場の魔法使いを、旅行も兼ねて。旅費等、かなりのお金をもらう。今回は馬車旅、すでに手続きを済ませてくれてある。
「妹をよろしくお願いします」
レヴィさんはついてこない。会ってしまうと心配してその様子を周りに見られると感づかれるかもしれないから。自分の家族だからな、そりゃ心配だろうな。こうして五日後、俺達は表向きは魔法の国へ旅行へ。
「魔王の話を聞いて全く動じなかった。彼は強者だろう。やはりあの時私の魔法が直撃したのに無傷で生きているのは見間違いではなかった。ふふ、でもあの二人には弱いみたい。エルもあの子達と一緒にいられたら……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます