第19話 最悪の結末
街に戻り情報を渡しルーラーさんと相談。どうしても二層以降も調べたいというのなら投石機に設置する荷物の中に入れてくれと話をする。一瞬難しい顔をするがわかったとその場は解散。一応仕事はクリアしたけど、奥に入れなかったのは残念だったからね。俺としても気になってしまっているし。二日後、ルーラーさんに呼び出される。
「調べてもらいたいようだ。なんせ長いこと連絡がつかないからな」
ただし絶対に見つかってはいけない、俺は招かれざる客。スキルを駆使しスニーキングミッションを攻略する。物資を投げ飛ばす日。投石が行われる場所へ向かう。職員が荷をまとめている。
「本当に大丈夫ですか?」
「もちろんです」
荷の上に乗る。大きな布で覆い始めたところでトータルライズ。これで着地の衝撃で死ぬことはなくなった。丸くまとめた荷を投石器にセット。
「投石機開始、発射!」
急激な重力を受け身体が沈み込む、荷物が打ち上げられた。作戦としては着弾し荷の布を取り払ったときに時間を止め内部に侵入。三層のときは誰かしら近くで待っていた。二層も同じだろう。身体が下がっていく感覚、落ちてきたな、そろそろ到着か。大きな衝撃と激突音を発し着陸。中身は散らばっていない、うまく包んだものだ。さて、住人が来るまで待つことに。
(うーん、あれから一時間以上は経つが)
どれだけ経っても人の気配がない。三層とはやり方が違うのか? とりあえずここから出よう。時を止め荷から脱出して近くの家屋に侵入。かなり強引だが二層に潜入成功。しかし妙だな、まるで人の気配がしない。荷物の付近だけでなく、街の中までもだ。二層は気配をゼロに出来るレベルの人間達だらけなのか。レアスキルというものがあるとはいえそんな事が可能なのだろうか。隠れながら着弾した場所の周辺を見る。物資は今飛んできた物だけ。ということは誰かが荷を持っていっていることは間違いない。物資は十日に一回、次の投石までには誰かが来るはず。息を殺して待つことに。二日後、外から話し声が聞こえてきた。複数人いる事がわかる。妙だ、ここまで人の気配がまるでなかった。それなのに呑気に話をしながら外を歩く者がいる。これは罠か? 聞こえるように話をしておびき寄せるとか。しかし話し声の主達以外全く気配がない。ただ荷物を持ちに来ただけのようだ。まさか彼ら以外全滅? それだけの殺人となるとそこでゲーム終了になってしまうが。とにかく彼らを調べていけばわかるはず。念の為、時間を止めて彼らを見た。瞬間驚き、また隠れる。
「やれやれ重い」
「しかしご苦労なこった。敵に物資を送り込んでくれるとは」
羽に尾、奴らは魔人だ。なぜこんなところに? 荷を持ち上げると魔人達は移動、奴らに気が付かれないように後を追う。大きな家に入っていく魔人。こっそり中を覗く。そこには大穴が掘られていた。穴に入っていく魔人達。最後に蓋をして穴を塞ぐ。なんてことだ、物資を魔人が持っていってしまった。ということはまさか。魔人がまだいる可能性を考え時間を置いてから人を探す。そして誰も居ないことがわかった。前に会った魔人を思い出す。奴隷を欲しがっていたな。もしやこの二層の街の人全員が連れ去られた? それだけじゃない、こうなると一層も怪しい。しかし入りようがない。バッチを奪える人間が居ないからな。壁を破壊して入ってしまうか?
「いや、まてよ」
この状況は使える。魔人は俺に気が付かれたことを知らない。そうか、街から帰った人が行方不明になるのはもしかして魔人の仕業か。必死にメモ帳に記入。予想とは全く違った結末に。ルーラーさんに相談してみよう。とりあえず脱出するか。誰も居ないし、飛んで脱出すればいい。
「クイックステップ!」
スキルを使い、そのまま空に向かって跳躍。雲を突き抜けた後ゆっくりと落下。悪徒の街から離れた場所に着地、脱出成功。街に戻り、ルーラーさんに悪徒の街で起きたことを説明する。
「そんなことが」
驚くルーラーさん。そりゃそうだ、魔人対策のために作った街が魔人にいいように利用されてしまっているからな。
「わかったありがとう。報酬は増やしておくよ」
後はルーラーさんに任せておけばいいか。国はどう動くだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます