第15話 錬金術と恋心
「あっ、安い」
「お得だよー!」
狩りに行く前に露店でポーションを購入、ふふ、ちょっと浮いたぞ、意外とポーション代も馬鹿にできないからね。ほくほく気分で狩りへ。魔獣と戦闘、ダメージを受け回復のためにリーナがポーションを取り出す。
「あれ、このポーションちょっと色薄くない?」
「本当だ、買ったときは気が付かなかったな」
他の店で買ったポーションと比べると色の違いは一目瞭然。ポーションは手作り、錬金術師が作っている。彼らはクラスではなく一般的な職業。誰でも錬金術師になれる。ちょっと怖いので使わず、翌日買った露天の道具屋に持っていくことに。すると多数の冒険者達が道具屋に押し寄せていた。そして露店はどこにもなかった。
「やられた!」
「実際使ったけど全く効果がなかったよ」
どうやら俺達も含め皆騙されたようだ。街の兵士に相談、犯人を捜索することに。まあ今頃街を出てしまっているから捕まる可能性は低いでしょうと兵士さん。いやーまさか俺が引っかかるとは。俺は大丈夫と思っている人は危ないって話だけど実際危ないようだな。丸々損か、お金はかつかつなのに辛いね。
「そうだ、錬金術師の資格取ろうかな」
リーナが偽物ポーションを眺めながらつぶやく。錬金術師は誰でもなれるが資格が必要。資格がない者はアイテムを作ってはいけない。試験の難易度がそこそこ高く、実際のところは冒険者になるよりも難しかったりする。冒険者は玉を飲むだけだからね。
「二人が修行しているとき暇だったから丁度いいかも」
やることを探していたというリーナ。冒険者ギルドの資料室に参考書が置いてありそこで勉強することに。狩りが終わり別れて道場後図書館へ。本を積み重ね勉強中のリーナ。
「勉強の進み具合はどうだい」
「初級なら意外と簡単に取れるかも」
幼い頃からこの手のアイテムと関わることが多かったためすんなりと頭に入ると語るリーナ。親父さんや兄さんが作っているのを見たり聞いたりしていたようだ。どれどれと本を見せてもらう。
「へー、ポーションって色々な作り方があるんだ」
「最終的には同じポーションになる」
ポーションの作り方は一つではない。数多くある材料の組み合わせ、作り方を覚えなくてはならない。当然他のアイテムもあるから大変だ。本を見ていると資格を取るために勉強したときを思い出すな。
「三日後試験を受ける」
普通はもっとかかるとか。初級錬金術師はいつでも試験を受けられる。当日、錬金術ギルドの試験会場で試験を開始。見事初級試験に受かり、錬金術師となる。思い立ってからあっという間だな。元々経験していたのは大きい。
「基本のポーションを作ってみよう」
制作するためには様々な道具が必要になる。お金を払うことでギルドから場所と道具を借りることができる。材料を買うとかかるお金はほぼ同じ、時間をかけて作る分損することに。自分達で素材集めからならお金が浮くことになる。ありがたいね。素材と道具を用意、様々な液体を混ぜ合わせ溶液を作成。材料の重さを計り乳鉢に入れ乳棒ですりつぶす。入念にすりつぶしたらを溶液を入れ混ぜる。フラスコに入れ火にかける。科学の実験でよく見るアレだ。沸騰したら冷めるまで待ち、入れ物に入れ完成。簡単だが分量を間違えたり手順を間違えたりすると効果がなかったり最悪毒になったりするから資格が必要になったようだ。販売する場合は更に難しい試験がある。厳しいけどトラブルは怖いし当然か。ポーション以外も作る。毒消し、目薬。今後も午後は勉強とアイテム作成をするとリーナ。
「拠点を手に入れたら錬金術部屋を用意してもらおうかな」
お金がかかるからまだまだ先だが自分達の住まい、基地はいつか欲しいね。
「ふふ、料理が得意でゆくゆくは情報屋や錬金術なんかも出来て良いエルフだと思うんだけど、どう?」
「むっ」
「どうって?」
(こ、この人)
「そうだハジメ、剣術の修行に付き合って」
場所を移動。練習用の模擬剣を持ち目隠しをするサシャ。この状態で抱きついてきてと指示される。ふむふむ、達人は後ろからの攻撃もかわすらしい。そんな感じの修行かな。音を立てないように回り込見ながら近づく俺。後ろを取った、勢いよく抱きつく。ビクリと体を震わせるサシャ。
「へへ、失敗しちゃった」
(なにぃ油断していた! サシャは大胆なことができないと。そうかディーラさんだな。くっ、抱きついた状態で、はにかみながらあんな可愛いこと言われたら男なんて瞬殺!)
彼女から手を離す。はは、難しいよね。サシャが固まったように動かない。なるほど、今の感触を忘れないように確かめているところなのか。いやー、練習熱心だな
、関心関心。
(鈍い。サシャは抱きつかれて嬉しそうにしてるし。それだけでいいのかい、不憫な子……)
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