第14話 レアスキル
二人とは仲良くなったからそろそろ俺のレアスキルについて話してもいいかな。他の世界から来たのはまだ秘密にしておくけど。人気のない森の公園へ行き三人向かい合い話をする。
「スキル世界一位ってのを持ってる」
「変わったスキルだね」
「それであんな異様な力が」
俺のスキルをいつも見ているためか、驚きはせずなるほどなといった様子。話を聞くよりマッチョのほうが印象深いよね。
「魔法も?」
「うん」
そういえば魔法は見せたことがなかったか。威力が高くて危ないんだよね、攻撃スキルは下手に使えない。実際見せるのは危ないから威力はあるよと説明だけする。
「ホークアイっていうレアスキルを持っている」
彼女の説明を聞く。強力な能力だ。マナポイントの消費が激しく、連続で使えないのが弱点のようだ。ジャンケンのとき一発勝負にしたのはそれが理由。
「私は魔剣覚醒という能力」
ほー、強そうな能力だな。ただレアスキルを試したことはなく、人に話すのも初めてだとか。
「父さんが仲間ができたらその人達に話せって」
ここまでずっと秘密にしてきたんだな。ふふ、仲間か。面と向かって言われると照れる。リーナも照れて肘で彼女を小突いている。説明には魔剣を強化すると書いてあるだけ。試すにしても魔剣はまだ持っていない。希少な武器だからね。そうだ、ガウスさんに借りよう。ガウスさんの家に行き話をする。
「魔剣を借りたいのですが。すぐお返しします」
「そうだのぉ、今回だけ特別じゃぞ」
一応条件をつけて貸してくれるガウスさん。希少で高価なため盗人に狙われることもあるとか。礼を言い、近くの森の中へ。
「ここなら誰も居ないな」
移動し魔剣を抜く。電撃が剣から発生、ガウスさんが抜剣したときよりも激しく放電している。説明そのままに魔剣がパワーアップしたようだ。試しに俺が手にすると途端に電撃の勢いがなくなる。これは強力な能力だな。ただ弱点はまだ魔剣を持っていないということ。入手はかなり先になるだろう。それから俺のスキルも試してみる。スピードアップのスキル、力アップのスキル等、サシャにかけられるだけスキルを使う。勢いよく動くと止められずに壁に人の穴が空くからゆっくりねとアドバイス。そしてサシャがおそるおそる動き出す。
「あれ?」
スローモーションのように動いているサシャ、上げた足がゆっくり地面に降ろされる。全然速くなってない、本気を出してもいつもとほぼ変わらない。調べたところどうやらレベル1のスキルがかかっているだけだった。つまり仲間には俺の強力なスキルがかけられない。当然といえば当然か、強すぎるからな。無敵の軍団を妄想していたが、夢ここに敗れる。まあいつも通り戦って強くなっていけばいいさ。家に戻り今度は自分の能力のチェック。スキルを使い身体能力を上げると視力が上がっている気がしていた。ガウスさんに剣を振ってもらい視力のテスト。
「始めるぞ」
「お願いします」
通常時は剣の動きが全然見えない。トータルライズを使うとよく見える。クイックステップはガウスさんがゆっくりに見えた。こんな効果もあったんだな。ということは通常状態で正面から襲われた場合、素早い攻撃をされると見えずに知らぬ間に死んでいるってこともありえるのか。狙われたりすると危険だな。今後も力を出すのは慎重に、目立たないように生きていかなくては。
「そうだ」
武器屋なら置いてあるだろうと街へ戻り店に向かう。
「いらっしゃい」
一通り見て回ったが魔剣は置いてなかった。
「はは、無いよ、盗難が怖いからね。冒険者や傭兵を雇っているようなところなら売ってるけど会員限定だったりと制限があるだろうから見せてもらうのも難しいだろうな」
ある程度予想していたけどないかー。あわよくば試し切りまでと考えてたけど無理そうだな。
「私も魔弓を見てみたかったな」
魔剣以外にも魔弓、魔棍、鎧等特殊効果がある武器、防具がある。総称して「魔装」と呼ばれている。俺も魔装の盾を触ってみたかった。ギルドにいって休憩。入ってくる人を見ると、たまに魔装を身に付けている人を見かける。いずれも高レベルの冒険者。入手はまだまだ先だな。後はスキルでも見に行こう。
「スキルどうしようか」
スキル屋へ行き腕を組みスキル本達とにらめっこ。よし、盾のスキルを一つ追加しよう。盾が光り、敵の目をくらませる「ミッドナイトサン」を購入。覚えていざ実戦。
「ミッドナイトサン!」
前方に大きな光が放出される。戦っていた全魔獣三匹の目眩ましに成功。二匹倒したところでまだ目が見えないようだ。本来なら本当に一瞬のはず。どれくらい技にかかっているか時間を測ってみるか。倒さず様子を見る。実験の結果、約三十分ほど見えない状態が続いた。戦闘で三十分は致命傷だな。足止めなんかにも使える、緊急用としては良い、強いスキルだ。光が大きく目立つからあまり乱発はしたくないけど。
「私もスキルを」
次の日サシャ用に剣士スキルを購入。「オーラスラスト」強力な突き攻撃を放つ。リーナには二つ、誘導弾のような使い方ができる「オービットショット」と矢の先端がマナをまとい威力が上がる「ヘヴィスティング」。
「そうだ、これ使えるんじゃない?」
袋から銃を取り出す。前にコロシアムで賞金が間に合わず、代わりに魔法銃を貰った。この世界の銃は魔法によって撃ち出される。撃ち出す力が弱いため基本護身用の武器。狩人スキルをそのまま使える。俺用に使ったらどうだとリーナが提案。いざというときに遠距離武器があると便利だな、使わせてもらおう。オービットショットを買って覚える。試し打ちをしてみる。リーナがスキルを使う、弾道が曲がりながら敵に当たった。盾が前に居ても敵に当てられそうだな、変わり種のスキル。今度は俺、使用し狙いたい場所を指定、敵に相対せず真横を向きながら撃つ。弾が銃口を出た瞬間、敵に向かって一直線。急激に90度は曲がったぞ、物理の法則とか関係なし、滅茶苦茶な弾道の玉が飛んでいった。まあファンタジーな世界だし便利だからいいか。威力はレベル1狩人、特徴だけが強化された形だな、元々威力を上げるスキルではないし。これは使いやすいな。銃は常に携えておこう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます