第12話 母の存在を知る人(改稿)
翌朝、僕は昨日よりも清々しい気持ちで目覚めた。
お母さんの親戚が僕の学校で働いているかもしれないのだ。昨日メモを貰った時、ここ僕の通っている学校ですというと高坂さんは目をキラキラ輝かせて『まぁ、運命ね』なんて言うものだから気恥ずかしかった。
でも、近くにいる。お母さんを知っている人がいるのだと胸を弾ませた。
母さんにも事情を話し、『晴が納得するまで調べなさい』と背中を押してくれた。
お母さんのことを知ろうとしたとき、母さんはためらっていたと思う。でも、晴のためならと、もう吹っ切れている様子だった。
初めに聞く人は決めている。保健室の宮永先生だ。僕に母さんのことを知るための方法を教えてくれた親切な人だ。この学校では大分古株らしく、長いこと勤めている。
今回聞くのにうってつけの人だと思う。だから学校に行ったら一番初めに聞くことに決めていた。
午前中の授業を終えて、昼休みにさっそく保健室へ向かった。昼休みは四〇分間ある一番長い休み時間なので、話を聞ける。期待を寄せながら、保健室の扉をあけた。
「あら、橋本くん。また体調が悪いの?」
「いえ、先生に聞きたいことがあって。この写真の人の親戚がこの学校にいるらしいんです。心当たり在りますか?」
先生は血相を変えて、写真をまじまじと見始めた。
「これは?どこで?」
「僕の家です。この人が僕を生んでくれた人みたいなんです。先生、あの時はありが…」
「橋本くん、あなただったのね。晴君はあの晴君は、あなただったのね」
先生がいきなり泣き出して、僕は何がなんだか分からなくなった。
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