第7話 信憑性 Ⅱ (改稿)

「失礼します」

放課後僕は保健室へと向かった。

『はーい、あら橋本くんどうかしたの。また頭痛いの?』と、話しかけてきたこの先生は切れ長の目がきつい印象を与えるが、実はとっても優しい先生だ。

僕は勇気を振り絞って昨日までのことをすべて話した。思ったより時間をかけすぎたみたいだ。他の生徒の気配を感じたらスッとやめるを繰り返したせいだ。窓の外を見ると、もうあたりは夕日が落ちかけている。

「橋本くん、私にこの話をしてきたってことは助けが欲しいのよね」

「はい、本当の親を知るにはどうしたらいいの?」

帰りが遅くなりすぎると母さんに不審がられる。僕はいつもより早く喋ろうと思い、

タメ口になっていしまった。先生はそんなこと気にせず話を続ける。

「そうねー、一番は親御さん、つまりあなたを育ててくれた親ね。育ての親に聞くのが一番だけど・・・。そういうわけにはいかないのよね?」

「はい、でも僕どうしても知りたいんです。何か方法は他にないですか」

「橋本くん、出自を知る権利って知ってる?」

そういえばいつかのニュース番組で“出自を知る権利”という言葉を耳にした。

僕と同じ本当の親ではない人に育てられた子どもが“知りたくなったとき”にいつでも出自を知ることができるというのだ。自分のルーツを知り、思春期を乗り越え、大人になる。

「聞いたことはあります。でもそれが何か関係あるの?」

 しまった。またタメ口になってしまった。


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