10月第2週 ワイン造りとは

『セドライア オーガニック オレンジワイン

 2023

 アライアンス アキテーヌ』


 フランス南西部ベルジュラックの協同組合、2010年設立と比較的新しいが109もの生産者が集まるという大所帯である。

 環境に配慮したブドウ畑と高品質なワインのための環境活動に取り組んでおり、そのテロワールの広報と啓蒙活動を行っているという。


 今回はオーガニックのセミヨン100%で造るオレンジワインである。

 工程の概要も説明書きにあるが、眠くなるので割愛しよう。


 では、開けてみよう。


 グラスに注いでみると綺麗なオレンジ色、クリアな味わいを予見させてくれる。

 香りには熟したオレンジの甘酸っぱさ、口当たりも程よくアプリコットのようなほのかな甘さがスーッと入ってくる。

 後味もスッキリとした酸味が心地よい。


 これは確かに抜群のコスパの良さだ。


『ガパオライス』


 今回のワインの商品紹介にエスニック料理にも合わせられるとあったので試してみようと思う。

 比較的簡単に作れるガパオライスにしよう。

 レシピはサッポロビールにしてみた。


 https://www.sapporobeer.jp/feature/recipe/0000001571/


 鶏むね肉を刻むのが面倒くさいのでミンチを探したが、鶏がなかったので豚にしてみる。

 早速レシピ通りにはならなかったが、その他はできるだけレシピ通りにやってみよう。


 刻んで炒めるがメインなので、すぐに完成、実食だ。


 魚醤とオイスターソースという個性派たちのブレンドであったのでクセの強い味わいだ。

 だが、甘辛い味付けであるので程よく豚肉の旨味と混じり合ってくれている。


 では、ワインと合わせよう。


 タイの料理はわりと甘酸っぱいフルーツソースが使われることが多い。

 それ故だろうか?

 必然的に今回の組み合わせも面白くなった。


 甘辛いガパオライスはそのままでも十分に美味しかったが、ワインの持つ果実の甘みがさらに一味引き上げてくれている気がするのだ。

 口当たりもマイルドにしてくれ、食も進んであっという間に完食であった。


 組み合わせの妙、これがワインと料理のマリアージュの本懐といえるだろう。


☆☆☆


 怒涛の収穫も終わり、ホッと一安心ではある。

 収穫コンテナを高圧洗浄機で一気に洗い上げ、終わった感は一気に増した。

 しかしながら、ワインにするための戦いはまだ続いていた。


 先行して仕込んでいたロゼワインは順調に発酵が進み、徐々にワインらしい香りと味わいになり始めている。


 赤の方は粒だけの状態となり、果汁も程よく出てきている。

 このぶどうジュースの状態に酵母を添加して発酵させる。

 そうして、朝夕1日2回櫂入れをしてあげ、全体を馴染ませつつ悪性微生物の繁殖を防いでいく。


 毎日温度と糖度の変化を観察し、味と香りに異常が無いかをチェックをする。

 ワイン造りの写真でよくグラスを持っているが、決して吞んだくれているわけではない。

 これも大事な仕事だ。


 そして金曜日、発酵が終わりきる前にこれらの赤用の粒たちをプレスして搾り取った。

 本来なら発酵が完了した状態で絞ることがほとんどだが、今年のブドウの場合は長く抽出しても良いことは無いだろうと判断してのことだ。


 このあたりの判断は、どのようなワインにしていくかで分かれるところだろう。

 僕の考えでは、今年のブドウなら軽めの赤に向いているだろうと思っている。


 このあたりに絶対の正解は無いので、造り手の個性が表れてくる。


 こうして搾り取られた赤ワインの赤ちゃんは、一旦タンクに移され発酵を継続させる。

 この週末には発酵が完了するだろうと予想される。


 そうしたら樽に入れるわけだが、その前に準備をしていく。

 

 発酵が終わったワインの上澄みを入れるためのタンク、ワインを安置する樽を使えるように綺麗に洗う必要があるのだ。

 最後に使い終わってから綺麗に洗ってはあるのだが、それから長い時間が経っているので使う直前にもう一度洗う必要がある。

 これもまたワイン造りで大事な作業だ。


 さらに、使い終わったプレス機も使わせてもらっているワイナリーが通常運転できるように綺麗に洗浄もした。

 やる作業によって気を使う部分もあるので、できる限り元通りにしておくことも大事だ。


 こうしてワイン造りももうひと踏ん張りのところまでやってきた。


 そして、ここまで読んでお分かりだろうと思うが、ワイン造りの戦場で最も大きな仕事、それは『洗浄』なのである。

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