8月第4週 自分、不器用ですから

『クラシチ メルロー

 2022

 ゾーニン』


 イタリアにて200年以上に渡り家族経営を続けているワイナリーで、イタリアのみならずアメリカやチリにもブドウ畑とワイナリーをそれぞれ所有している。

 かつては小規模農家だったが、それぞれのワインの個性を最大限に表現するために、ぶどう畑と醸造所を同じ所に設けるエステートスタイルにこだわっているそうだ。


 そんな様々なワインを造っているワイナリーによる『チルドレッド』、自由に冷やして飲む赤ワインを開けてみようと思う。


 色としては濃い紫だが色調は淡く透明感がある。

 明るく軽いワインだとすぐに分かる。

 香りは干しプルーンや燻製肉な感じはあるが、冷えていると匂いは感じにくいか。

 味わいは想定通りサラサラとした優しさがあり、わりかしスッキリとした甘さがある。


 命に関わる酷暑を味わった後、冷房の効いた部屋で一日の疲れを癒やすのにちょうど良い。


『産地不明霜降り和牛肉のワサビ醤油味』


 またもやいただきものの高級食材を食そうではないか。

 何処産なのかは聞いていないので分からないが、巨大な霜降りの1枚肉だ。

 簡単にステーキにしよう。


 適当にフライパンで焼いてワサビ醤油を用意すればよいが、それだけではさみしいので、ベイビーリーフとトマトのサラダ、バゲットを付け合わせよう。


 あっという間に出来上がれば実食だ。


 軽くナイフを当てただけで切れる程の柔らかさ、ジュワッと脂が染み出てきてとろけるような柔らかさだ。

 だが、脂の量がすごすぎてワサビのツンと来る辛味が全く感じない。


 ワインと合わせる。


 ……うん、なんというか、脂が強烈でワインがまるで水のように感じる。

 ワインよりも普通にバゲットで合わせた方が食がよく進んだ。

 なんと表現すればよいのか、泥沼にハマッて足が絡め取られていくような感じ?


 とりあえず食したわけだが、残念ながらワインは進まなかった。

 この夜中は胃が重くなってなかなか寝付けなかった。

 さらに翌朝、気持ち悪くなってお腹を壊してしまった。

 

 どうやら高級食材は僕のような下賤の者には合わない、というか大量に食べるものではなかったようだ。

 

 何事にも向き不向きというものがあって、あっさりとうまくいく時もあればどうしてもうまくいかない時もある。

 どうしてもうまくいかない時というのは、何故かトコトンうまくいかなかったりするのである。


☆☆☆


 前回は畑の造成で天地返しを行ったわけで、大体形にはなった。

 しかしながら、次にトラクターを走らせてそれなりに均して耕すわけだが、トラクターの予定がつかないので造成はまだ終わっていなかった。

 

 そんなわけで時間が空いたので、ハンター試験の勉強でもしよう。

 この週末にあるのでやれるだけはやっておこう。


 講座受講の申込みをした問題集を開く。

 1ヶ月以上前の講座以来に開いた。


 学科に関してはわりと一般常識のようなものに近かったので、なんとなく大丈夫だろうという甘い考えであった。

 しかし、獣はハッキリと分かりやすいが、鳥がさっぱりと区別がつかない。


 全部は覚えなくても大丈夫だろうと、とりあえず二日ほど勉強だけして試験に臨んだ。


 車を30km以上走らせ試験会場に到着、試験会場探しからしなくてよかっただけマシか。

 

 学科はいくつか分からないところはあったが、3択問題なのでそれほど難しいことはなかった。

 何度も見直し、とりあえず罠も銃も大丈夫だろうと思ったところで退出して別室で結果を待った。


 学科は無事に両方とも合格、その後の視力などの適性検査を終えて午前の部は終わった。


 午後からは実技試験となった。


 ここで懸念事項の鳥の判別にやられた。

 鴨類の名前を微妙にいくつも間違えてしまった。

 銃の鳥獣判別はボロボロ、罠に関しては獣類ばかりでほぼ完璧であったのは救いか。


 気を取り直して、次の罠の道具判別・設置はまず大丈夫だろうと一安心だ。

 オーク対策の罠だけは免許が取れそうだ。


 ところがまたもや銃試験、油断していた距離の目測は誤った。

 長距離の300mはまず大丈夫だったが、中距離の50m・30mでやらかした。


 ここまでで累積減点が大きくなってしまい、最後の銃の扱いを完璧にやらないといけなくなってしまった。


 そして、致命的なミスをした。


 ははは、手を抜いたところばかり責められてがっくりときてしまったようだ。

 1ヶ月以上前の講座での練習では楽勝で出来ていた銃の組み立てが、何故か上手くいかなかった。

 

 この組み立てができないと大幅減点どころか一発失格となるのである。

 

 帰り道の車内では、なんでこんな簡単なことを失敗するんだと自己嫌悪で遠吠えをしたくなった。

 

 「自分、不器用ですから」と言い訳したところで所詮は負け犬の遠吠えなので、酒をかっくらって忘れてしまおう。

 そうして、死屍に鞭を打つように前半の結果になったわけだ。


 上手くいかない時はトコトン上手くいかない、人生ってヤツにはこんなことがよく起こるものだ。

 だが、やられっぱなしで終われない。


 次の試験は9月だが受付は終了しているので、リベンジは来年だ!

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