8月第2週 どうやらお盆に台風が来るらしい

『義男カベルネ・ソーヴィニョン

 2019

 蔵王ウッディファーム』


 これまでに何度も登場しているので、ワイナリーの詳しい説明は割愛しよう。

 山形県上山市にある自社ブドウのみでワインを造るドメーヌワイナリーである。

 

 今回のワインは、現代表取締役の父親である義男氏が40年以上に渡って大事に育ててきたカベルネ・ソーヴィニョンの畑の最後になる前年に造られた。

 代々農家ではあったが桑畑をブドウ畑へ改植していき、上山の地においてワイン用ブドウ栽培を早くから始めた先駆者でもある。


 それでは開けてみよう。


 グラスに注ぐと濃紫色なダンディーさ、ちょっと年数も経ったので大丈夫だろうと思ったがすぐに香りが開いてこない。

 グラスに注いだまま少し放置すると、徐々にブルーベリーのような華やかな香りが出てくる。

 タンニンが柔らかく口当たりは優しい、杉のような風味と黒い甘さもあってしっとりと味わえる。


 今は暑すぎるが、涼しい夜に暖炉の前でゆったりと飲むのにちょうど良いだろう。

 そんなものはないが……


『牛すじ大根の黒胡椒風味』


 良い1本なのでちょいと凝ったものにしてみようと思う。

 食材を物色していると牛すじを発見、それから面白そうなレシピを探してみた。


 アサヒビールが提供しているレシピにしてみる。

  https://www.asahibeer.co.jp/enjoy/recipe/search/recipe.psp.html?CODE=0000002321


 調理自体はそれほど難しくないが、時間だけはかかる。

 牛すじにはアクがたっぷりなので、アク取りもなかなか手間であった。


 そんなわけで完成したので実食しよう。


 味付けが和風となっているので、意外にも重すぎずに軽やかに食べられる。

 それでも煮込んで柔らかくなったとはいえ、牛すじの肉々しさがあるため食べごたえは十分だ。

 黒胡椒のピリッとした感じも良いアクセントだ。

 ついでだった大根にもよく味が染みていて、ジュワッと煮汁が溢れるようだ。 


 そしてワインと合せよう。


 ワインとしてはしっとりと落ち着いた良いワインであるが、ボディの厚みはそれほど強くはない。

 しかしながら、牛すじの味付けも優しめになっていたので、これがちょうどよく合う。


 いつものごとく2人前をペロリと平らげてしまい、気分は上々だ。

 独りで飲み食いしてしまうにはちょっと勿体無いとは思ったが、たまには贅沢しても良いではないか。


 長い年月とともに育てられたブドウから造られるワインとじっくりと煮込んだ料理、ゆったりとした時間とともに味わっていると、ワインを造る楽しさをまた教えてくれる。


☆☆☆


 先週で巨大な根っこ(略……さなくてもよい)を抜き終わってスッキリとしたが、まだやることが残っている。

 切り株と根っこの大部分は取り終えたが、まだ引きちぎった根っこの細い部分が地中に残っているのだ。

 他にもゴロゴロ大きな石も大量にある。

 これらをできる限り回収していこうと思う。


 とはいえ、地中深くに入ってしまっている部分に関しては最早どうしようもない。

 ただ、地表近くにあるものだけは取り除きたいところだ。


 そんなわけではあるが、週の前半は悪天候であった。

 とりあえず月曜日は草刈りを行った。

 自分のブドウ畑の方と依頼のあった地へと向かい、途中で雨に降られたが本降りになる前に終了できた。


 火水は午後から雨予報なので、午前中だけは運搬車で根っこを回収に行こう。

 さて、これが意外にも重労働であった。


 触手のような根っこを回収しようとするが、まだ地面に張っているので人力で抜くには全身ずぶ濡れの汗だくになってしまった。

 ゴム長靴の中にはガポガポと汗がたまる。


 午前中だけしかやれないで、逆に助かった。

 午後からは予報通り雨となり、今回のメニューを作ってのんびりと過ごす。

 他にもやれるだけの事務仕事もついでにやっておこう。


 そんな時であった、この週末に通常とは逆方向から台風がやってくるというではないか!


 世間ではお盆休みという架空世界の休みであるが、こちらはブドウ様に奉仕をしなければならない。

 大事にならなければよいがと思いつつ、やるべき作業をしよう。


 再び長雨が予想されるので、苗木の方も防除をしておく。

 が、その前に草刈りをしよう。


 十分な雨と高温なため、草がよく成長しているのだ。

 湿気もこもるし厄介な虫の棲家となるし、農薬もかかりにくいので防除前に刈っておく。


 苗木もグングンとまだ伸びているので、またも誘引作業をしてやろう。

 台風の影響もあるだろうから、できる限り固定してあげた方が良いだろう。


 草に埋もれていた低い部分の葉っぱに少々病気が出てしまっていたが、こればかりは仕方がない。

 想定外に立派になってしまっているので、下部分の葉っぱを1,2枚取ったところで問題は無いだろう。

 しかしながら、将来の樹勢が強くなりすぎる心配あるが、どうにかなるだろうとも思っている。


 そうして本日日曜日、無事に防除を行い、長雨対策はできた。

 予報では来週はほぼ雨マークが付いているので、外れてほしいものだ。

 この時期の長雨はブドウにとって好ましくないし、畑の造成も早く次の段階を終わらせたい。


 とはいえ、人間ごときがどうこうほざいたところで自然には敵わない。


 そんなわけで盆踊りでもして快晴祈願でもしようかな?

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