5月第3週 不測の事態に備える

『ラムーザ

 2021

 クズマーノ』


 シチリアワインの品質・知名度の向上を目指して2000年に設立され、現在ではイタリア・シチリアを代表するワイナリーである。

 ひとえにシチリアワインと言ってもシチリアは非常に広く、特徴の異なるテロワールがいくつも存在し、それぞれの土地の違いを明確に伝えることを目指しているそうだ。


 今回のワインはピノ・ネロ、ピノ・ノワールのイタリア名である。

 商品名のラムーザとは、シチリア北西部パレルモ内陸部のフィクッツァ農園にある泉の名前からとられているらしい。


 それでは開けてみよう。


 ロゼワインであるが、だいだい色に近い

 しかし、香りはロゼワインらしくラズベリーのようなフレッシュさを感じる。

 味わいもスッキリとした酸味があり、ラズベリーのようなジューシーさがあるので初夏の暑い日に最適だ。


『えびとアスパラガスの中華風塩炒め』


 ロゼワインであるので何か中華っぽいものが食べたくなった。

 しかし、手間がかかるものは作りたくはない。


 ということで、レシピを検索する。

 サッポロビールが提供しているレシピにしてみよう。

https://www.sapporobeer.jp/feature/recipe/0000001264/


 アスパラを程よい長さに切ったら軽く塩ゆでしてザルで湯をきり、フライパンでごま油を熱してニンニク、しょうがを香りが出るまで炒める。

 そして、むきえびを色が変わるまで炒め、アスパラも加える。

 

 鶏ガラスープの素とお湯をさらに加え、塩で味を整えたら片栗粉でとろみを付ける。

 鶏ガラスープの素と片栗粉があれば大体中華風になるのだ。

 

 で、実食。


 プリプリの海老とシャキシャキのアスパラ、この食感と素材の味がシンプルな塩炒めだからこそ生かされている。

 かた焼きそばで餡かけにしても面白いと思う。


 そしてビール、じゃなかったワインと合わせよう。


 やはりロゼはフードフレンドリー、大概の料理と合わせやすい。

 中華風の塩炒めであるが、フレッシュなロゼの酸味と中華あんのとろみのあるコクとの相性が良い。

 お互いにシンプルな味付け故に、飽きが来なくて食事が進んでいく。


 シンプルに生きるということ、多くを求めないからこそ本当に大切なものに気付けるのかもしれない。


☆☆☆


 この週は月曜日から大雨、しかし、これは恵みの雨であった。


 先週までは雨がほぼ降ることもなく乾燥しすぎており、苗木の心配をしていた。

 だが、これで真夏の日照りになる頃までは大丈夫だろうと一安心だ。


 そんな大雨の日は畑には出ないが、たまった事務仕事をしなければならない。


 今年からワイン販売も始めることになる、というかクラウドファンディングですでに始めているので昨年よりも財務計算がやや複雑になる。

 経費計上の事業仕分けをワイン販売部門と農業部門に分けただけであるが、簿記ソフトの設定変更、今年分の経費を再入力していく。

 これだけでも半日の時間がかかってしまったが、これで最低限の財務計算はできるだろう。

 

 そうなれば、次の畑の資材を積算する。

 やれる時にやるべきことをやる、そうすればその後は時間に余裕ができるので、不測の事態に備えることができるのだ。


 そして、雨上がり後は再び畑に出る。


 苗木は恵みの雨によって一段成長が進んだようだ。

 前半に植えたシャルドネ、シラーの一部のほとんどは芽が出て葉も大きく開いてきた。

 後半に植えたシラーの残りもほぼ芽が出て、生育の遅い品種のカベルネ・ソーヴィニヨンも半分は芽が出て、残りも順調に芽が出そうになってきた。


 しかし、草もまた立派に育った。


 大部分は日曜日にトラクターを借りてある程度の整地と草刈りを同時にするのだが、トラクターの入れない支柱間と苗木部分の狭い箇所については刈払機で草刈りだ。


 とはいえ、まだそれほど草丈は高くないが苗木なので短くしておくに越したことはない。

 草丈が低すぎるので、ナイロンコードの方が上手く刈れる。


 マキタのダブルバッテリーが2セットであるが、畑の広さに対して充電が足りない。

 全部で5回充電に走った。

 そのため、草刈りは隙間時間に3日かけて終わらせた。


 その期間のメイン作業は、もう一つのブドウ畑の芽かきだ。

 長梢の棚仕立てであるので、全部の芽を使うとただのジャングルになるだけである。

 そのため、調整するために芽の数を減らしてやる必要があるのだ。


 ここらでは、全体の半分以下になるように、葉っぱの枚数が6から8枚程度の芽を残してやる。

 全体の生育を揃えてやるわけだが、全てが理想通りになるとは限らない。


 今年は昨年よりも生育が1週間から10日程早い。

 この作業も一気に終わらせてしまおう。

 苗木の畑の草刈り等と交互に行い、2日間でこちらも終了だ。


 そうなれば今週も余裕だなと思っていたが、甘かった。


 金曜日は想定外の強風が1日中吹き荒れた。

 そのため、ブドウ畑の枝がいくつか外れて落ちてしまった。


 宙ぶらりで強風に煽られてしまっては、せっかく伸びてきた芽が折れてしまう。

 緊急事態で誘引テープで固定して直してあげた。


 想定外に半日仕事になってしまったが、他の作業を早めに終わらせて良かった。

 無事に被害は最小限で早い段階で復旧もできた。

 近隣で早くからさくらんぼのビニール屋根を張ってしまったところは、飛ばされてひどい目に遭ってしまったところもあるそうだ。

 

 不測の事態に備えることは、いつでもどこでも大事なことなのだろうと思う。


 そして、本日日曜日、トラクターを借りて走るか。

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