18.空間掌握
「準備は良いか?」
少し離れたところでロイド陛下が言った。
僕は隣に立つ響と目を合わせ、互いに覚悟を決めたことを示し合う。
「「よろしくお願いします!!」」
陛下は僕達の声を聞くと、足元に巨大な魔法陣を構築した。その魔法陣は僕の足元まで届く程に巨大であった。刻まれた魔法は<
魔法陣の構築が終わると陛下は僕達と陛下のちょうど中間に立つ神崎会長に合図を出した。神崎会長はそれを確認すると片手を大きく振り上げた。
「それでは双方位置について、始め!!」
神崎会長は言葉と共に勢いよく手刀を振り下ろした。
ガキンッ
刹那、二本の剣が衝突する。開始の合図と共に響は全速を持って駆け出しいた。
あの速さ、神崎会長との闘いで見せた<
一方、ロイド陛下も既に抜剣しており、響の攻撃を受け止めていた。
僕が一連の攻防を認識する頃には、既に響は僕の傍らへ後退していた。
「いやー危なかったぜ…」
響は冷や汗をかきながら言った。
「危なかった?」
僕の目には響が攻撃を仕掛けているようにしか見えなかった。
「なんて言うか…気づいた時にはあの人の攻撃が目の前まで来てた…」
響は信じられないものを見たといった様子だ。
響の言葉を聞くに、先程の攻防で攻撃を仕掛けていたのは響ではなく、ロイド陛下の方だったということか。
「魔法はもう発動しているのか…」
光速を持った響よりも速く動いたということは<
光の速さを空間の圧縮で上回ったのだ。
陛下の<
僕は足元の魔法陣に魔力を通す。
先程は二人の攻防に追いつけず発動が間に合わなかったが今度は……
「<
僕達は前方に佇む陛下を見据える。向こうから仕掛けて来る様子はない。
「おっしゃ!仕切り直しだ。修、やってやろうぜ!」
「うん、やろう!」
響は再び大地を蹴り、瞬く間に距離を詰めた。
二つの剣が一瞬にして何度も交差する。
僕は<
「……これは……」
僕の魔力領域を陛下のそれと同等にまで広げることに成功した。全くの予想外である。
光速で動く響を対処するのに手一杯でこちらに割く余裕はなかったか………単に手加減してきるだけか………。僕は思考を止め、魔法を維持することに全神経を注いだ。
今、僕と陛下の<
よって<
響が縦横無尽に攻撃を叩き込み、気づけば陛下が押される形になっていた。
その光景には既視感があった。
響が神崎会長と闘った時にも同じ展開があった。響の光速が相手を圧倒する展開。しかも今回は以前と違って相手の魔法は制限されている。よって響は不意の一撃に対する警戒は最小限に、攻撃に集中することができる。
<
光速を超えた剣閃がロイド陛下に襲いかかる。
刹那、僕の視界に映る陛下の身体ブレる。
ガキンッ!!
「なっ!?」
陛下が響の攻撃を完璧なタイミングで弾き返し、そのまま繰り出された高速の横凪を響はなんとか剣で受け止めるも威力を殺し切れず、その身体がこちらまで吹き飛ばされた。
「響っ!!」
僕は慌てて響に駆け寄った。
「大丈夫だ」
響は掌を挙げてそう言った。
「それより……あの人ホントに人間かよ」
響は遠くに佇むロイド陛下を見据えてそう言った。
今起きたことに僕と響は驚くことしかできなかった。
魔法を発動した気配はなかった。。<
「まだまだ、こんなもんじゃないだろ?」
ロイド陛下の声が魔力で飛んできた。
「っ!?」
突然、身体中から血の気が引いていくような感覚に襲われた。
「どうした?」
「………さっきまで拮抗していたはずの<
先程まであったはずの二つの魔力領域が一つになっていた。消えたのは僕のものである。
<
「ってことはもう近づくこともできないかもな……」
僕はもう一度足元の魔法陣に魔力を送り<
ロイド陛下の<
「さあ来い、お前達ならできるはずだ」
陛下は笑みを浮かべて言った。まるで僕達ならこの状況を打破できると確信しているかのように。
「なあ修」
響は真剣な眼差しを向けて言った。
「相談したいことがあるんだが……今から言うことってできるか?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます