6.学園対抗戦
三日後、事情聴取の結果、僕は無実であり、魔法の使用は正当防衛であることが認められた。対して桐山は魔法の無許可使用等の複数の規則違反に加え、暴行、脅迫、殺人未遂を全て認めたようだ。その結果、学園からは退学処分並びに厚生院-重大な罪を犯した子どもを厚生する施設-への強制送還となった。
僕の怪我は良くも悪くも学園生活を送るのにギリギリの状態だった。よって完治するまでは実技系の授業は見学、それ以外は普段通りに過ごすということになった。
「いってて……」
体を少し動かすだけでも少々痛みが生じる。
「はぁしばらくはこの生活か…」
僕は溜め息を吐きながら自席に座る。
「おっす!体の調子はどうだ?」
響が片手を挙げてこちらにやってくる。
「おはよう、響。調子はまあまあかな」
「まあそうだよな。あんま無理すんなよ?」
キーンコーンカーンコーン…
授業開始の鐘と共に既に待機していたザッハ先生が教壇に立つ。
「よし、授業を始める前に二つ通達がある…」
ザッハ先生は生徒が全員揃っていることを確認しているようだ。
「まず一点目はこのクラスの桐生涼についてだ。彼は学園規則の違反による退学処分となった」
教室が一気にざわつく。学園が始まってすぐの予期せぬ退学者…。大体の生徒は詳細が気になって仕方がないようだ。
「この一件は学園で解決済みのため不用意な詮索は謹んでくれ。そしてもう一点は『学園対抗戦』についてだ」
教室はぴしゃりと静まり帰った。余程その対抗戦が気になるらしい。
「三ヶ月後に控えた『学園対抗戦』だが、予戦エントリーは本日より二週間以内だ」
口頭でしか伝えられていないためメモを取る生徒もしばしばいるようだ。
「しかし!去年までの予戦は完全個人戦にて行っていたが、今年は二人一組のチームで行ってもらうことになった…む?なんだイデオ」
見るとイデオは質問があるのか挙手していた。
「質問です。なぜそのような変更が?」
どうやらイデオはチーム戦であることが不満のようだ。
「残念だが…これは他ならぬ国王陛下の決定だ。どんなに不満があろうともこれが覆されることはない」
「…そうですか」
国王の決定ということだからかイデオはなにも言い返せないようだ。
「パートナーについてだが、同学園に在籍している事が条件だ。つまりこの学園の生徒なら学年を問わず、誰と組んでも問題ない」
学園内なら誰でも良いのか…。
「これ以降の詳細は随時通達する。質問がなければ授業を始める」
「ようやく熱くなって来たぜ!なあ修!」
ここまで話を聴いて思ったことがあった。
『学園対抗戦』ってなんですか?
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