第5話 雑談

「おう、作家と助手だな?」

「相変わらず、へんちくりんな名前だなぁ。」


「ほっとけ。」


二人が話し出した。

私は会話に加わらず、先ほどまで乱獲した戦利品を纏めながら話を聞いていた。


情報屋のお爺さん。

見た目は人型のモグラといった感じだ。

爪が結構鋭い。


「ていうか、メールでいいじゃん。」

「なんでわざわざ場所を指定するんだよ。」

「直接会わなくても、情報の売買はできるだろ?」


「うるせぇ。」

「儂は直接会わないと信用できないんだ。」

「それに、お前ら機人は見た目や声がコロコロ変わる。」

「売るべきでない情報もあるから、直接会わないとな。」

「それに、多少距離があろうが儂には関係ない。」


「ああ、あの穴?」


少し離れた場所の壁に穴が開いている。

一目見ただけで、不自然な穴だと分かる。

穴の中が虹色に光っているのだ。

そして、少しずつ埋まっている。


「よくあんなとこくぐれるよなぁ。」

「前、潜りかけたら扉の入り口部分で死にかけたけど。」

「確か、体が半分に切れたっけ。」


「あれは、わしの忠告を聞かんからだろうが。」

「儂らは生まれつき出来るが、お前にはできん。」

「陸を生きる生物が、海の中では専用の装備がなければ呼吸すら行うことができないようなもんじゃ。」


「でも、前に頼んだ時はいけたじゃん。」

「爺さんに手を取ってもらったあの時。」


「あれは中々無理をしたのだぞ。」

「確かに、儂が手を取れば、強引に進めないこともない。」

「まあ、少しの失敗で両方とも死ぬがの。」

「そんな状態なのに、儂のサポートも無しで潜ろうとしたら、当然死にかけるに決まっておろう。」


「潜れたら、楽しそうなのになぁ。」

「後、便利そうだ。」


「無理なもんは無理じゃ。」

「もう、頼まれてもやらんぞ。」


「うーん。そうかぁ。」


「あと、そんな雑談をしに儂を読んだわけじゃなかろう。」

「で、どんな情報が欲しいんだ?」

「たいていの情報は売ってるぞ。」

「買ってもいるから、いい情報があったら買うぞ。」

「儂があちこちを掘りまくって手に入れた情報だ。」

「信頼性はピカ一だ。」


作家はチラシを取り出した。


「これ、知ってる?」


「もちろん。」


「ですよねぇ。」


「そんな一瞬で調べられる内容を売りつけられるのは困るとしか言えないの。」


「じゃ、売るのはいいや。」


「買いたい情報があるんだ。」

「センターからのバカみたいな額の達成金の依頼が出たんだ。」

「で、依頼をこなすために必要なんだが。」

「いい感じの異界ない?」


「いい感じと言われてもなぁ。」

「お前のそのふわっとした依頼内容は正直どうかと思うぞ。」

「まあ、そのチラシの内容を売りつけるのをすぐに諦めただけましと思おう。」

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機人、冒険中 @193850382

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