第4話 出会い

異界の中は光に満たされている。

どこにも光源はないはずなのに、隅々まではっきりと見える。

正直、この光はどこから来たのか疑問には思うが、まあ、私は便利でいいと思う。


「それじゃあ、助手君。」

「よろしく。」


「あいよー。」


そんな気の抜けた会話のあと、私は小型の周囲を一掃していく。

といっても私自身は特に何もせず、展開した攻撃用ドローンに一任だ。

這い出てくるモノ達のが姿は人間の手首から先のみが球形に集まったもののようだ。

そいつらは必死に爪を向けるが私たちには届かない。


「この異界に住んでいるあいつ等って何だったっけ?」


彼は手の塊を見ながらそう言った。

私は記憶を思い返す。


「確か、お手伝い用の手じゃなかったっけ?」

「作ったはいいけど、飽きて捨てられた奴。」


「あーうん。」


「聞いておいて微妙な反応しないでよ。」


「ごめんな。」


彼の視線が私の背後に移る。

どうやら、興味は浮かぶドローンに移ったようだ。


「やっぱそれいいなぁ。」

「俺も購入しようかなぁ。」


「あなたの貯めた点数ってどのぐらいだっけ?」


彼は少しの間をあけて、笑顔のスタンプを掲げた。


「いや、黙って笑顔のスタンプ頭の上に掲げられても困るよ。」

「で、貯めた点数は?」


「少し前に思いっきり使って、今はほぼゼロだよ。」


そう言って胸を張る。

正直、何を言っているんだとしか思えない。


「今度は何買った。」

「スタンプだけじゃ、そんなに使えないよな?」


「いやいや、今回のは有用だから。」

「ほら、見ててよ。」


そういうと、彼は手のひらをドローンによって撃墜された手の塊の山に向ける。

それらの一部は静かに浮かぶと彼の手の近くで停止した。


「回収用の新機能だよ。」

「これで今迄みたいに手でもって運ぶ必要はなくなるよ。」

「いいでしょー。」


「ほーん。」

「で、どんだけ浮かばせられるの?」


「これで限界重量ですけど。」


「そう。」

「まだ、回収するべきものは山ほどあるけど。」


「…。」

「いや、これ浮かばせてると腕が動かせなくなるから。」

「ちょっと難しいかなぁ。」


「…。」


「手で運びます。」


「そうしてください。」

「私も運ぶから。」


観測用ドローンによれば、周囲には敵影はない。

私はドローンの一部に回収命令を出す。

そして、自身の手でも少しずつ回収していく。


そうやって喋っていると気が付いたら、最深部にたどり着いた。


「ここに来るのはいつぶりだったっけ?」


「2週間ぐらいだと思うぞ?」


そうやって話しながら、私は周囲を確認していく。


「敵影なし。」

「でも、生体反応はあるからあの爺さん来てるっぽいよ。」


「そうか。」

「それはよかった。」

「すっぽかされたらどうしようかと。」


「あそこまで勢い込んで、情報有りませんでしたじゃ困るからね。」


「そりゃそうだ。」


そうやって二人で話していると。


「おう、久しぶりだな。」


そうやって声がかけられる。


「情報屋の爺さん久しぶり。」


「お久しぶりです。」

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