蟲中になりっぱなし

イヤマナ ロク

蟲中になりっぱなし

午前7時

 全てがおかしかった。草木が男の家の床を不法占拠していた。そこら中の床が雑草まみれだ。それにハチとトンボがブンブン我が物顔で飛び回ってる。バッタバッタがバッタバッタ跳ね回ってる。彼は窓から家の外を見た。もそこは異世界だ。大量のゴキブリとネズミがガサガサ地面を這いずり回っていたのだ。さらにウジャウジャアリまで!

まさに虫蟲。

ガサガサウジャウジャバッタバッタブンブン

ウジャウジャバッタバッタガサガサブンブン

ブンブンバッタバッタウジャウジャガサガサ

虫が人を支配しようとしている。ネズミがそれに乗っかっている状況だ。

「何でこうなってしまったんだ…」

他にも人間が生き残っていないのか彼は電話をかけた。しかし繋がらない電波のピポパポ音だけが鼓膜にこびりつく。

「クソっ!」

生き残りは自分しかいないと悟った彼は救世主になると確信した。男はまず状況確認のため外へ出た。でも世界が妨害する! 道端には森が新しくできていた。掻い潜ろうとしても木がバネの様に曲がりくねって男を弾き飛ばす。まるでお手玉の様に森に遊ばれている。

「こんなんで負けないぞ!」彼は森を抜け出せたのだ。四角い太陽が木を全て焼き払ったのだ。彼はカステラや豆腐、羊羹など四角い食べ物が好きだ。自分の好きな形になってくれた太陽にグッジョブを交わす。

 男は何とか足を進める。すると敵のドンであるヤツがそこにいた。

「ブモォーーーー!!」

彼はゴキブリ達と共に人を食っていた。

「  てくれぇー!」

頭を食われた老人はそう叫んでいた。

「あっ が無くなるゥー!」

そう叫ぶ女の足はドンの胃袋の中だ。

「ブモォーーーーーー!!」

ヤツの見た目はヒグマサイズのコガネムシだ。敵味方関係なく貪っている。意地汚いヤツだ。

絶対に世界を救う。

男はヤツに向かって走り出す。そして、そのまま彼を殴り飛ばした。

「さっさと夢から覚めやがれ!ゴキブリなんて食ってんじゃねぇ!」

「はあ?何言ってんだ?」

「お前の夢で世界がメチャクチャ何だよ!さっさと起きろ!」

「いやあの虫が世界をムチャクチャに…」

だからお前の夢のせいだ!そもそもお前が虫になってるぞ!」

「いやそんなことない。そもそ



夢から覚めたのはヤツだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

蟲中になりっぱなし イヤマナ ロク @rjde4fuvD

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ