第4話 ビッチ担当

 派手な金髪に小麦色の肌。制服は大胆に着崩して、巨大な胸は上乳やヒョウ柄のブラ、肉感的な太ももは付け根まで露出している。


 見るからに好色そうな笑みを浮かべ、品定めでもするような目つきでちゅぱちゅぱと棒付きの飴を転がすのは――。


 もちろん攻略対象ヒロイン


 序盤に登場してサクッと抜ける豊富なエロイべで人気のビッチ系淫乱黒ギャルこと二子玉にこたまアゲハだ。


「……そうだけど」


 匂い立つような淫乱オーラに圧倒されまいと、九朗はグッと下っ腹に力を込める。


「アハッ。噂通りのイケメン君じゃん」


 チロチロと淫靡な舌使いで飴を舐めると、おもむろにそれをこちらに向ける。


「あ~しは二組の二子玉アゲハ。好きな事はエッチとナンパ。って事で竿谷君サァ、ちょっちあ~しとエッチしな~い?」

「しない」


 素っ気なく言うと九朗はアゲハの横を素通りした。


 チンポ危うきに近寄らず。


 アゲハは序盤から登場してサクッと抜きイベを発生させられる便利キャラである。


 その節は英二も大変お世話になったものだが、今の彼は竿谷九朗として第二の生を真面目に謳歌している。


 正直かなり魅力的なお誘いではあるが、だからこそ相手をするつもりはない。


「ちょっと待ったぁ!」


 通り過ぎようとする九朗の前に両手を広げてアゲハが立ち塞がる。


「……なんだよ」

「なんだよじゃないし! こんなおっぱいのおっきいエロエロギャルのアゲハちゃんがエッチしてあげるって言ってんだよ? 断るとかどうかしてんじゃないの?」


(そういえば、ここで断ると結構しつこいんだったな)


 ゲームでも開始して暫くするとアゲハにナンパされるイベントが発生する。


 断る事は出来るのだが、その場合アゲハはかなりしつこく食い下がって来るので何度も断る必要がある。


 その過程が結構可愛いのでほとんどのプレイヤーがここでアゲハとエッチする事になる。


 二週目以降も断り切れずついついエッチしてしまうプレイヤーは多い。


 それを見越してか、このイベントではアゲハの誘いを断った回数によってその後の抜きイベの内容が変化する。


 具体的には断った回数が多い程エッチ時のアゲハの必死度が増す。


 ちなみに限界まで断った後に仕方なくエッチするを選びその後のエッチイベントで本気モードのアゲハを圧倒すると最速でぞっこん状態に持ち込む事が出来る。


 ぞっこん、又は脅迫状態のヒロインは調教イベントを発生可能で、アゲハは攻略の容易さと調教範囲の広さも人気の一つだ。


 ビッチぶっている割りにはノーマルなエッチ以外の耐性や知識はゼロに等しいので調教し甲斐があり、アゲハルートだけでも普通のエロゲ一本分くらいのボリュームがある。


 お陰で毎回ここでアゲハに捕まって他のヒロインを攻略出来ないと嘆くプレイヤーもいる程だ。ある意味マスオナの看板娘的存在である。


 対策として二週目以降は一括スキップで断れるのだが、一定回数以上スキップするとランダムでいきなりアゲハがメンヘラ化するイベントが発生する。


 普段は明るく意外に健気な面もあるアゲハが猛烈に病む姿はプレイヤーに激しい罪悪感を植え付けるが、可哀想は可愛いという言葉もある通りこれはこれで人気がある。


 他にもアゲハは脱ギャルルートなんかも用意されていてシナリオ的にはかなり優遇されている。


(問題は、ここで断った所で諦めない所だよな)


 このイベントは一定回数アゲハの誘いを断れば終了するが、その後もアゲハは事あるごとに主人公に絡んでエッチの誘いを仕掛けて来る。


 その必死さが可愛くて結局アゲハとエッチしてしまうプレイヤーが以下略。


 佐藤英二もアゲハで抜いた回数は100や200では足りないだろう。


(……いや。問題はそこじゃない。その後だ)


 度重なる誘惑を全て断るとアゲハは自棄になって超ビッチ化する。


 主人公に当てつける為手当たり次第に他の男子とヤリまくり最終的に妊娠して退学するのだ。

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