第六話 「三日目:プランB」
今日もベットの上で目覚める。そして何か違和感を感じる。
「…あれ、いつも机の上にないものがある…。」
机の上にあるものを発見した私は近寄ってものを手に取った。
材質は紙のようで、少しざらざらしている。とても小さく折りたたまれており、広げてみると、誰かからの手紙が入っていた。
内容はこうだ。
「霜月朔夜 様
ですが、不在であったため、貴方のサーバーへデータを送信しました。
いつでも受け取ることができます。お知らせは以上です。失礼しました。
-メモリーウーバー(株)」
…メモリーウーバー…、そして荷物…?誰からだろう。
ちょっとワクワクしてきた私は、サーバーのギフトボックスへアクセスし、荷物を回収した。
送り主は…、
…!?
私の…親?なんで?親は一度もこの世界に入ってきたことないよね?
とにかく開けてみよう…。
これは…アルバム…?
中には、私の幼少期の写真がいっぱい。眺めていると、紙が一枚ぱらぱらと落ちてきた。
その紙には
「感覚を取り戻す息抜きのためにこれを送っとくね。
一日でも早く感覚が戻るといいね!頑張って!
大好きな 母より」
「…ありがとう…。お母さん…。」
今日も頑張れそう…。いつも支えてくれてありがとう、と感謝を今すぐに伝えたいとこだ。
さてと、本題に入ろう。今日は『
さあ、いざ参る!!
そう言い、記憶にダイブした。
ん…?
あれ、今日は車の中で目覚めてない…。
「ほーら、起きて!白糸の滝だよ!」
そう言われ、目のピントを合わせると、そこには白糸の滝の綺麗な景色があった。
「わぁぁぁ!すごいや!すごいや!」
…おっと、見惚れてる場合じゃなかった。
さあ、どうやってあの騒動を回避するか…。
一つ目の「帰る時間を遅らせる」やり方は無事死亡エンド。
残るは「強行突破」か「隠れてやり過ごす」か。
今日は「隠れてやり過ごす」という安全な策を取るか。
そして、時は流れ帰り際になると、あの罵声と、聞き覚えのある悲鳴が駐車場から聞こえてきた。
「危ない、隠れて!!」と、親の声が聞こえる。
あたりに居た人は全員隠れた。
…その時、謎の声が囁いた。
『何やってるの。隠れているとバレるぞ。』
と。
じゃあどうすれば良いんだ。と応えようにも、バレそうだし…。
残るは「強行突破」のみ…。
「ねえ、ひとつアイデアがあるのだけど。」
親にそう囁き、親はコクッと頷く。
「ここからバレないうちに飛び出て駐車場へ凸るの。強行突破ってやつ?」
そういうと、親はそれはまずいと言わんばかりに表情を険しくした。
それでも私は囁きつづけた。
「どこからか聞こえる謎の声が囁いてるの、死にたくないなら強行突破しなさいって。」
すると、親は私の能力のことをわかっていたのか、コクコクと頷き、草むらを飛び出た。
「走れ!」と声が聞こえる。他の人たちも一斉に動き始めた。
そしてしばらく走ると目の前に筋肉クソ野郎が出てきて防ぐように立っていた。
だけど私たちにはそんなことは関係ない。俊敏な動きで避けていく。他のみんなのことはお構いなしに。
そして駐車場に着くと、そこには警察もいて、脱出路を確保していた。
私たちはすぐに車へ乗り、エンジンをかけ、急いで駐車場をあとにした。
…大成功、だった。
「さくちゃん、あれでよかったのか?」
「大活躍だったよ〜!みんな逃げれたっぽいし!」
「やった!」
とても嬉しかった。過去は変えられないけど、とても嬉しかった。
すると、周りが白くなり、たちまち眠くなる。
「…ん…?」
起き上がると、ほっほーと音が聞こえ、音声も微かだがリビングから聞こえるのがわかる。リビングのドアは開いているので、本来はもうちょっとよく聞こえるのだが。
だけど、感覚が一つ戻ったのは確かだ。つまり、最初のミッションは、2回目で成功したのだった。
すると親が階段を登ってきて、
「さくちゃん、どうだった?」
「…大成功!環境音の感覚を完全に取り戻したし、音声の感覚も少しだけ戻ったような気がする。」
「よかったじゃ〜〜〜ん!」
初めての成功は、私の記憶の中に埋め込まれたような、そんな感じがした。
だけどまだまだ戻っていない感覚はいくつかある。これからも頑張ろう。
大丈夫、いつだって、親とあの男子が支えてくれるだろうから。
第一章「旅の始まりは、能力の目覚め時」
完
第二章へ続く…。
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