第四話 「悪夢を駆け抜けろ」

注意:[中度] 暴力要素あり

-苦手な方は、閲覧を控えることをお勧めします。-


「さて、と…。」

いつも通り椅子の上でサーバーに目覚め、「音を取り戻す『記憶旅行メモリートラベル』」を行う。

「…、またあの悪夢を見ることになるのか…。だけど今の私なら、きっと回避できるはず!!」

そう叫び、記憶へとダイブした。


———日差しが気持ちいい空間、涼しく透き通った風がふく頃。

うん、やはりあの時の空間だ。

車体も揺れ、整備された山道を登っていく、幼い頃の、あの記憶だ。

ちゃんと戻れたようでよかった。

「もうすぐ着くよ〜!」

この声で私は起きた。あの時は風が気持ち良すぎたし、日差しもちょうどよかったし、何より幼いのも合って寝落ちしやすいからね、うん。

さて、まずは車を降りて空気を味わおう…。

「う〜〜ん!やっぱ空気は美味しいねぇ!」

「さくちゃん??」

「あ、気のせいだよー。」

まずい、今は幼少期の私の中にいるんだった。

口滑らしたらどんなことが起きるかわからないしなぁ。

なるべく素を出さずに音の感覚を取り戻そうか…。

そうしてこの前と同じルートでマイナスイオンを味わい、車へ戻ろうとする。

っと、その前に一回「未来予知」をしますかぁ!

目を瞑り、息を整えて、上の空を見続け…。


———見えた…。

やはりあの「筋肉ムキムキクソ野郎」の集団が私たちを襲っている…。

これを回避するためには…。

一つは、帰る時間を遅らせて時間を稼ぐか。

二つは、強行突破をするか。

三つは、どこかに隠れてやり過ごすか。

この三つの中に、正解があって欲しいなと思う。

ただ、流石にすぎた時間は戻せないし、他の方法を試すとしたら、もう一回『記憶旅行メモリートラベル』をしなければならないから…。

今日は一つ目の帰る時間を遅らせる方法を試すか…。


そうと決まれば、まずは買い物ブースを提案しよう。

「ねぇねぇ、ここは他に何があるの?」

「買い物のブースはあるよ、もしかして、おやつ食べたくなったの?」

「うん!遠足みたいにおやつ食べたいの!」

「よ〜し、分かった!レッツゴー!」

あっさり承諾された。ただ、うまくいけばいいのだが。

そして私はポテチやプチゼリーを食べて、すっかり体力が全回復。

——だがしかし、悲劇が訪れる。

「きゃーーーーーー!!」

突然、駐車場の方から悲鳴が聞こえた。

あのクソ野郎たちだろうと、一瞬で察しがついた。

あいつら、まさか今回は人質を取るつもりじゃないよねって思った。

もしそれで耳が死んだら、またやりなおし。

…つまり、選択を誤ったことになる。

「そんなの…いやいやいやいや!!」

「さくちゃん大丈夫よ。いつだって私たちがそばにいるわ。」

「そうとも、何があっても必ず守って見せるさ!」

———そんなこと言われたって、私は信じることはできないよ…。

   結局みんなボコボコにされて、私は病院送りになり、耳が聞こえなくなる…。

「オラァァぁぁ!!お前ら伏せろクソ野郎!!!」

「ひゃああああ!?あいつら何!?なんなの!?」

「逃げるぞ!」

「まさか、ここまできてるなんて…。」

私は親に抱っこされ、駐車場まで駆け抜けた。

だがもう、遅かった。

そこには門番がいて、そいつらはとても怒り狂っていた。

そして親たちは射殺され、私は耳を聞こえなくされ、その場で倒れてしまった…。



「…はっ!?」

「…今回もダメだったか…。」

一瞬で現実世界へ戻ってきた。結局選択は誤った結果になってしまった…。

これで一つの可能性が0になった。

残るは二つ。このどちらかに、答えがあると私は信じる。

また明日、『記憶旅行メモリートラベル』をして、今度こそ音の感覚を取り戻そう…。


つづく…。

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