第三話 「未来予知」

キーンコーンカーンコーンと鳴り、今日も苦しい一日が始まる。

苦しいとはいえ、よく考えたら差別する奴の方が悪いんじゃないのと思う。

むしろそういう奴は将来なんだよなぁって思うと、気が軽くなる。

そんなこんなで学校に着くと、教室には教師と2人きり。

結構近い距離で今日のことを相談していると、どんどん他の生徒が入ってきた。

朝の会も終わり、一時間目の数学が始まろうとしていた。

私は支給されたICT端末を手に取り、ヘッドフォンをプラグインし、授業開始を待つ。

私はいつも成績の上位の方を取りたいので、耳が聞こえずとも、努力を重ね続けている。

自分が思うには教師からの評価もとても良いと思うのだが。

と、そう思いながら授業開始30分後、

突如として…、

異変が起きる…。

「うっ…!?」

「ん?おい、さくちゃんどうした!?」

「あっ…あたまがぁ…!!」

突然、感じたこともない激痛が走った。

「うっ…」

そして、叫んでる暇もなくお尻から滑り落ちて意識を失った。

…のは良いのだが、今までに感じたことのない温もりともふもふ感が私を包んだ。

目覚めるとそこは、とっても大きな神像が立っていた。

周りは薄橙色の霧があり、地面は浅い水たまりのようになっていた。

「ここは…あの時きた場所と似てる…。」

そうだ、耳が遠くなった時に「記憶旅行メモリートラベル」の能力と「本音読取シンクトーク」の能力を得た時にきた場所…。

ということは…私を操る神がいるということ…?

そう考えていると、

「こっちへ来なさい。」

と聞こえる。

声が聞こえる方へ足を運び立ち止まると、

「あなたに、未来が見える能力を授けた。」

「え??未来予知ってこと…?」

「つまり、そういうことだ。」

「そして、さっきの頭痛はこれを授ける前の副作用だ。」

「また痛めてしまって、すまなかった。」

…?

…はっ。そうか、あの時も病院にいる時に一回だけ意識を失ったんだっけ。

「で、この能力はどう使うの?」

「胸に手を当てて、心を読むように瞑想をするのだ。」

「わかった。戻ったらやってみる。」

まあ、もう「本音読取シンクトーク」は瞑想しなくてもポンポン出て来ちゃうからね…うん。

さてと、いつ戻れるのか…。

「おまいさんは、もうすぐ病院で目を覚ますだろう。」

「神様、いつもありがとう。」

「良いんだよ、おまいさんの助けになってれば、私も嬉しい限りだ。」

「じゃあ、そろそろ戻るね。」

「また、どこかで会おう。」

そう言い、私は瞑想を開始した。

するとすぐに光で覆われ、現世でも目覚めた。

「…ん…?」

「あぁ、よかったぁぁ!」

「意識戻りました!」

現世では私、とても大変なことになっていたようだね。うん。(笑)

さてと、早速未来予知してみるとしようか。

すっと腕を動かそうとした。しかし、力が入らない。

「あれ…?力が入らない…。」

「まだ意識が戻ったばかりなので、30分後には力も戻ると思いますよ。」

そっか。能力が多すぎて処理が追いついていないとかかなぁ。まあそんなことはないだろうけど。

とりあえず、無事に現世に戻れてよかった。

…と、そしたらあの能力の実験台を親に頼むか…。

「ねぇ、帰ったら試したいことがあるんだけど、良いかな?」

「いいとも、なんでもするよ。」

「ううん、今回は1人でできることなの、でも、その『能力』が本物なのか調べたいから、親の手を借りたいな。」

「そうなのね、わかったわ。」

そうして私たちは一旦家に帰り、片付けなどをすませた。

「で、新しい『能力』って?」

「未来予知。未来を予測できるの。」

「ほぉ、やってみ?」

そう言われ、私は左手を胸に当て、瞑想をする。

すると一瞬で答えが出てきた。お父さんが2階に行く時の階段で座ってお茶を飲むことが。

「予測できたよ。なんか動いてみて。」

「うむ。」

するとお父さんは、階段の方向へお茶を持っていき、よくみると座っていた。

「どうかな?」

「…合ってる。」

「つまり力は本物なの!?」

「そう…みたい。」

「これであの困難にまた立ち向かえるんじゃない!?」

「そうだね、可能性としてはいけるかも。ありがと、手伝ってくれて。」

「良いのよ!がんばってね!」

そう言い、私は自分の部屋へと帰った。

「未来予知…か。そのうち未来旅行ミライトラベル」もできるようになるのかなぁ…?

なんて、そんなことは起きないでしょ。

そして、寝るまでの残り時間を1人で過ごし、休憩を十分にとったところで「記憶旅行メモリートラベル」の準備に入った。

「…次で脱出し、感覚を取り戻せられるのかなぁ…?」

「そんなの、もうわかんないよ…。あの悪夢は、もう二度とみたくないけど、失敗したらその時はその時だ。がんばろ。」


とても変わった私の一日が終わり、記憶旅行メモリートラベルへと出かけた…。


続く…。

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