第二話 「惨劇」

警告:残酷描写、暴力描写あり

-苦手な人は、閲覧をお控えください。-



「…ここは…?」

私、寝てたのか…?

「ほら、もう直ぐ着くよ、君が行きたかった『白糸の滝』に!」

「おおおお!!」

そうだ、この日はマジで行きたがっていた場所「白糸の滝」へいく日だった。

そして私は道中、早起きすぎて眠くなっちゃって寝ちゃったんだっけ。

「今日はちゃんとマイナスイオンを感じれるような装備してきたもんね!」

「うむ!!絶対楽しむぞぉ!」

しばらくすると、山の奥なのに人が賑わう場所へついた。

どうやらここは「白糸の滝」のチケット売り場であるようだ。

大自然にある公園のようなものだと思っていた当時の私が幼くて可愛いなぁって思った瞬間だった。

私たち一行は、チケットを買った後受付を済ませ、目玉スポットへと駆けつけた。

とても綺麗な糸を引くような湧き水の滝だった。

「この水、湧き水で綺麗なものだから飲めたりしちゃうんだよね。ほら、さくちゃんも飲んでみ?」

お父さんに勧められ、水をすくって飲んだ。

すると、お家では感じることのできない美味しさの水であることが確認できた。

これだけは、はっっっっっっきりと覚えている。

だけどさっきから心の奥でモヤモヤした感触がする。

音は聞こえるが、それとは関係のない、何かが私たちに迫っている予感がする。


しばらくして、買い物などを済ませた後車に戻り、帰ろうとした時だった。

——予感は的中してしまったのだ。

「なんだあれ…。」

「ぎゃあああああ!!早く!!!車から降りて!!!!」

「え、え!?何があったの!?」

「はっ!!」

そこに現れたのは、SG《ショットガン》を持った筋肉ムキムキの5人の集団だった。彼らは外国人のように思えたが、流暢な日本語で、

「おい、お前ら、ここから逃げるつもりか?ふざけんじゃねえぞ雑魚!!」

「さぁ、どうしてやろうか?」

「とりあえず子供の耳に爆弾を仕掛けてやろうじゃないかぁァァァ!!」

…そうか、これは人災だったんだ…。

「どうせお前など、裁判にかける金なんてないだろうなぁ?

クソ雑魚が。」

バゴっと音が鳴り、親が2人とも蹴飛ばされた。

「いやぁァァァ!離してぇぇ!」

「くっ…!離せ…クソ野郎!!」

「どうした、そんなんでもう動けないのか?情けねぇなぁ?」

「これだから雑魚って言われるんだよ!」

遠くでこんな声が聞こえる中、私は…、

「さて、お前も終わらせてやんよ!!」

「うえぇぇぇぇぇぇえぇん!!ままぁぁ!!!ぱぱぁぁ!!」

そうして取り出してきたのは、何か液体の入った注射器だった。

「ほらよっと!!」

ぶしゅっと、耳に響き、激痛が走る。

「い゛だい゛い゛だい゛い゛だい゛!!だずげでま゛ま゛ぁぁ!!」

そして引き抜かれた瞬間、私は意識を失った。

…そうして、私は病気にかかり、それまでの記憶が自力では思い出せなくなり、

…なんらかのキッカケにより、この「記憶世界メモリーワールド』が出来上がったのか…。

その後は警察も来て、親たちも解放されて、私は病院送りにされたんだっけ…。

嫌な予感というのは、『惨劇』の始まりであったってこと…なのかな…。


「…はっ!!」

目覚めたら私はソファーの上に寝ていた。汗もだくだく。

「…私の過去、耳が聞こえなくなったのも、一部の記憶が飛んでしまったことも、全部あの筋肉クソ野郎の集団のせいだったのか…。」

「あの悪夢を思い出しちゃったのかぁ…。そっかそっか、辛かったねぇ。今日はゆっくり寝てね。私もそばに居るから。」

「うん…、ありがと…。」

記憶メモリーの手がかりを掴んだ1日であったが、音の感覚はまだ戻っていない。もしかしたら、あの惨劇を回避したら、感覚が戻るのだろう。

…でも、どうやって…?

しばらくその記憶メモリーを調べる必要がありそうだ…。


続く…。

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