第一章 -旅のはじまりは、能力の目覚め時-

第一話 『記憶旅行 -メモリーサーバー-』

その日の夜のこと。私は親に勧められた『記憶旅行メモリートラベル』を使った感覚復元を試してみることにした。

「といってもさ、いつのところまで戻ればいいの?」

イマイチ思いつかないのが、どこにトラベルすべきなのかと言う点。

確かにほぼ全ての記憶メモリー破損ブレイクせずに残っているが、今までの人生の大半を「音のない世界」として生きてきた。なので今でも本当に「音のある世界」へと記憶旅行メモリートラベルできるのかどうか。

モノは試しだな、と思い親に聞いてみた。

「うーん、結構前に君が話してた『記憶世界メモリーワールド』にそれらの記憶が本当に残っているとしたら、絶対そこから少しづつ感覚を取り戻すほうがいいんじゃないかな、って思うんだけど。」

「やっぱそうだよね…、今まで以上に大変なことになりそうだけど、頑張ってみるよ。」

「うん、君なら感覚はまだ戻ってないけどあの病気には勝ったんだし、絶対できるよ!応援してる!」

「えへ、ありがと〜。」

いつも親には感謝しかない。いつも学校にいけてるのは親のおかげだ。

そして、私はソファーに座り、記憶世界メモリーワールドへとスマホを通じてダイブしていく…。

まるで、猫のように眠ったふりをして…。

そうしてたどり着いた空間は、どこか生暖かい空気が流れ、ふかふかのベッドの上があり、その上に寝そべっていた。

そう、私の記憶世界メモリーワールドはまるで1人部屋の書斎のような雰囲気であり、居心地もとてもいいのだ。

初めて迷いついた時は、確か音の感覚が失われた時だったかな。それももう懐かしいものだ。

さてと、こんなふうに解説してる暇なんてないぞぉ、本題に入ろう。

「いつの記憶メモリーへダイブして、なんの感覚オトを取り戻そうか」。

私が失なった感覚オトは、全部で四種類ある。

「環境音」、「音声」、「機械音」、「打撃、摩擦音」だ。

ほとんど同じようには見えるが、どれも似たようで全く違うものなのだ。

この四つが揃った頃には、必ずクラスのいじめ野郎に言い返せる時が来るのだろう。

「よし、まずは『環境音』の手がかりを探ろうかな。」

そう思い、「メモリーサーバー」と言う「世界樹メモリーツリー」へアクセスした。

(大自然にピクニックへ行った時の記憶メモリーがあったらベストなんだけどなぁ。)

と思いつつ、結果を待つことにした。

20分がすぎ、結果は1件のみでてきた。

なんとギリギリ、音が入っている時期であった。

(やった!この記憶メモリーにダイブすれば、音が戻る手掛かりが見つかるかもしれない!!)

だけど、なぜか嫌な予感がした。この時に、私の身に何かあったに違いないと。

ダイブするって言うことは、そのになって行動しながら進むから、

もし何かあったら、もう一回苦しみを味わうことになりそうだ。

だけど、いじめられるより、絶対こっちの方がいいと思い、記憶メモリーへとダイブした。


続く…。

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