最悪の相手
俺、
特別成績がいいわけでもなく運動が人一倍できるわけでもない。
ここまで平凡なら将来もどうせ平凡に終わると持っていた。
普通に卒業して、普通の仕事をして、普通の家庭を築く。
そんな普通の人生を。
だがしかし、そんな平凡な人生において一番といっていい難問が俺の目の前に置かれている。
そう昨日拾った痛すぎる日記だ。
あれから俺は雑用に疲れて家に帰り今日の朝まですっかりこの日記のことを忘れていた。
「お兄ちゃん!もう出ないと遅刻するよ!」
そんな妹の声が玄関から聞こえてくる。
まあこれは今日にでも先生に渡せばいいか。
「すぐ行くよ」
俺は遅刻すると焦る妹にそういい学校へと向かった。
長い髪を後ろにくくり、かなりの美貌をもった女性で一部の男子からは根強いファンがいるとかいないとか。
たしかに外面をみたらだれでも惚れてしまいそうになるが俺はこの女の内側を知っている。
あれだ、この女はダメな奴だ。
「日記をひろったって?」
「はい。だからこれを持ち主に返してもらっていいですか」
「いやよ。めんどくさい」
「だと思いましたよ」
やっぱりこうなった。
この女。
「だいいちなんで私なのほかの先生でいいじゃない!」
「まあ」
そう俺もこうなるような気はしていた。
しかし、ダメ元でこの女にしたのは理由がある。
この痛い日記をほかの先生に見せるのは抵抗があった。
確かにほかの先生ならばだれでも引き受けてくれることではあるものの
不用意にこの日記の中身が広まるのは避けたいのだ。
だってもし俺がこの日記の持ち主だったら間違いなく死んでしまう。
その点この女は性格は残念だが口が堅く、不用意に相手を傷つける可能性が低いと思ったからだ。
「それじゃ私は職員会議があるからじゃあね!」
そういいのこし俺から逃げるように去って行ってしまった。
あれ絶対教師としてダメだろ。
「どうすっかなこれ」
やっぱり自分で返すしかないみたいだ。
俺は
そして昼休み俺は一人中庭で昼食をとっていた。
いや、別に友達がいないとかじゃないぞ。
今日はわざわざ一人で中庭にいるのはこの日記を読むためにだから。
ほんとうに友達いるから。
そんな言い訳を一人でしながら俺は日記と向き合う。
「ごめん」
一応一言謝罪をして中を確認する。
3月23日
今日も私はかわいいですn
無理だ。さすがに無理だろ。
こんなもの見続けたら死んでしまう。
仕方ない。中身は極力見ないで名前を確認しなければ。
そう思って俺は日記をぱらぱらとめくっていく。
そして最後のページにたどり着いたとき端っこのほうに小さく何かが書かれているのを見つけた。
「名前っぽいな」
俺は小さい文字をよく見てみた。
「うそだろ」
最悪だ。よりにもよってこの人かよ。
俺はそこに書いている名前に心当たりがあった。
ていうか、全校生徒だいたいは知っている名前だ。
そこに書かれていた名前は。
この学校の生徒の中で一番最悪の相手じゃないか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます