俺とあいつは絶対に合わない!
ソーマ
放課後
夕日が照らす誰もいない教室
そこにたたずむ二人の男女。
緊張感が漂うその空気、ドラマでよく見る告白の舞台。
そしてロッカーの中から見守る俺。
ん?
最後がおかしいだって?
そうだね、俺も思っているよ。
自分でもなんでこうなっているのか見当がつかないんだから。
こんなことなら今日はまっすぐ帰ればよかった。
ことは二時間前、俺は昔からお世話になっているお姉さんでもあり担任でもある
職員室の荷物を運ばされてたり、いくつもの空き教室を掃除させられたりとさんざんこき使われていた
そしてそのとき事件は起きた。
俺が空き教室の掃除をしていると教室の隅に落ちている手帳を発見した。
見つけたからには持ち主に返さなければならないそう思って俺はその手帳の中身を見てしまった。そこに書かれていたのは日記だった。だが普通の日記じゃない。
なんというかこうあれだ、全体的に痛いのだ。たとえば
4月27日
今日また男子生徒に告白されました。
その人はサッカー部のエースで女子たちみんながあこがれる人でした。
そんな人が私に告白してくるなんて思いもしませんでした。
これで何人目でしょうか私に告白してくる男子は。
はあ、まったく私の可愛さは罪ですね。
もちろん今日告白してきた男子には悪いですが告白は断りました。
どこか私に見合う男性はいないのでしょうか。
などとか書かれていた。
正直ドン引きしていた俺はこのままこの手帳を放置しようとした。
だが、日記を読んでいて気付かなかったんだ。
近くから足音がするんだ。
俺はこの日記の持ち主だと思ってとっさにロッカーに隠れてしまった。
そして
今に至る。
「はあ、どうしよ」
俺は自分の気持ちが口から洩れているのに気付いた。
ていうかこんな埃っぽい空き教室じゃなくてもうすこし別の場所で告白したらいいのにと思うが、こうして覗くような真似をしてしまっている以上文句は言えまい。
「そう思えば、告白されている女子のほう見覚えがあるぞ」
あれはたしか生徒会の
品行方正。成績優秀。クールで完璧美少女。
この学校で本郷あかりの名前を知らないものはいない。
そしてなにより彼女は誰からの告白に対しても一度も首を縦に振ったことがない
という。
「あの男子、無謀なことするな~」
まあ勝手に覗いている手前応援だけはしておこう。
男子生徒がなにかいって頭を下げて手を伸ばす。
それに対して本郷あかりはなにかを言った。
なんどか会話した後
男子生徒は逃げるように去っていった。
声はあまり聞こえなかったけどフラれてしまったんだろう。
「やっと解放される」
そんなとき本郷あかりがこちらに向かってきた。
いきなり俺がいるロッカーを開けたのだ。
「あなた。のぞき見とは趣味が悪いわね」
「いや。ちがt」
「ふん」
そう言い残し彼女は教室を出て行った。
「いや。理由くらい聞いて行けよ…」
まあもういいや。
俺は雑務やこの事件のせいでさすがにつかれた。
拾った日記も明日先生に届けよう。
俺はそう思って帰路についた。
しかし、
この判断がミスだったことを後で思い知ることになった。
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