第2話 帰宅
俺は今、結婚してから買った新築の一軒家の玄関の前で心臓が破裂しそうなくらいドキドキしている。(ちなみにこの家は、雫がほとんどのお金を出してくれた。)
(買った家のお金を返そうとしてるんだけど、雫は受け取ってくれないんだよなあ。
ちがうちがう。そんなことより、いまからどうするかだ。俺ができるのは、雫に感謝を伝えることだけだ。)
そんなことを思いながら、玄関を開けて
「ただいま。遅くなってごめん。」
と言うと、向こうから小走りでやってくる音が聞こえた。
(え、お出迎え?今までそんなこと一度もなかったよな。うわ、めったに怒らないというか一度も怒ったことがない雫が怒ってる?うわーどうしよ。ほんとに別れの危機か?最悪、プレゼント渡せば許してくれないかな?今まで喧嘩もしたことないから仲直りの仕方すらわからないんだが。)
そうしながら、靴を脱いで、靴箱に入れようとしたその時、
「おかえり♡ゆうたくん..///」
一瞬思考が止まり、ようやく再起動した頭をフル回転で働かす。
(え?ゆうたくん????????)
(え?ほんとに何????????)
(え?お金でもせびられる????)
(あ、なるほど。プレゼント頂戴ってことね。)
「ごめんね、雫。遅くなって。これ、雫が欲しいって言ってた香水だよね。いつもお世話になってるし、結婚記念日だから買ったんだ。」
(よし、プレゼントは渡せた。しっかり、雫が欲しいって言ってた香水を渡せた‼雫の欲しいものとかわからなかったけど、俺は聞き逃さなかったぞ‼スマホを見ながら、この香水かーって言ったのをな!!ふはははは‼)
「え、この香水って、、、、」
「雫がスマホ見て、欲しそうにしてたから買ったんだけど。もしかして、気に入らなかった?」
「ううん、絶対に絶対に絶対にそんなことはない‼ゆうたくんがそこまで私のことを見てるなんて少し驚いちゃっただけだから。」
「え、あそう?なら良かった。あとさあ、なんで急に俺の呼び方変えたの?」
「え、え?え?私、なんて言ったっけ、、、」
「えーっと、そのなんか恥ずかしいな。ゆうたくn......」
「え、私そんなこと、、、、、、」
そうすると雫が顔を赤くしながら、リビングへ戻っていった。
(あんな、雫の姿見たことなかったなあ。よっぽどプレゼントが嬉しかったんだろうな。まあ、とりあえず、別れは、回避した感じかな。いや、女の人は些細なことで不満がたまるって言うもんな、今日はとりあえず気合入れとかないと。)
そう思いながら、雫の姿に疑問を思いつつ、リビングへ向かうのだった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(なんで、あんなこと言っちゃたんだろ。今日の私なんかおかしい。ゆうたくんが好きすぎて、どう接すればいいかわからなくて、今日から積極的に行こうと思ってただけなのに。ああ、、ゆうたくんと顔合わせれない、、、)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます