地平線の火球
宇宙を見ようと約束したんだけれど、きみは地面ばかり見ている。月だ、星だ、流れ星だ、ブラックホールだ。空を指差すのはぼく。見上げながら歩いていると足元であっと声が上がった。「きみ、今銀河に片足を突っ込んだよ」と心配された。足元には確かに暗い川が流れていた。銀河ってもっと星が煌めいているはずなのに、川はただの深淵だった。どこから流れてきてどこまで行くんだろう。きみは銀河をぴょんと飛び越す。きみとぼくが隔てられた。空だけ見ていたなら良かったのに。きみが手招きする。気付かず落ちたらどうなっていたんだろう。足元の恐怖。 宇宙は怖いけれど遠いからいいんだ。そこら辺に転がっていては困る。星とか、銀河とか、ブラックホールが。
見上げることが怖くなって地面を見て歩くことにした。水たまりに星が光った。一つ、二つ。楽しそうに星を数える声。きみはいつから宇宙遊泳をしていたんだい。同じ通学路を歩いているときは同じ花を見て石を蹴り遊んでいたのだけれど。
きみのことをよく知らないけれど、宇宙ほどではない。
明日の夕暮れは緑色に輝く彗星が落ちるのを見よう。空と地表の狭間に現れた彗星を、空でも地面でもなく地平線に居座る火球を。ぼくたちの空が燃えるのを見ようって、また約束した。
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