第1章 第17話 再調達
この後、ウェッジウルヴズ大公家に送られて帰って来たユイエとアーデルフィアは、ウェッジウルヴズ大公宛に「断れない指名依頼を受けたため、これからその対応に出ます」と伝言を残し、休暇をとろうとしていた何時ものメンバー達を非常招集して再度山脈へと向かって行った。
皇都を出て≪樹海の魔境≫の入口で一泊し、いつもベースキャンプにしているあたりまで行くとそこで魔馬車を降りた。
探索に赴く4名は身体の前後に大容量の
今回は魔物との戦闘は最低限にして、何より速度を求めた。おおよそ前回と同じルートを辿る事が出来たため、前回に築いたキャンプ跡を再利用しながらの移動が出来た。
森の中を魔物を避けながら駆け続けること6日目。ようやく山脈の山麓に辿り着いた。
「何とか無事に辿り着けたわね……。此処から先は
「「「了解です」」」
一行は食事休憩をとり前回設置した山小屋の隠れ家で不寝番を回しながら睡眠もとって可能な限り万端の準備を整えた。
翌7日目の朝、朝食も済ませ皆が準備万端になったところでアーデルフィアが山脈を見上げて宣言する。
「それじゃ、
赤種、黄種、緑種をそれぞれ来た順で相当数殺して歩き、特に
その他の倒した
山麓まで来た時と同じく6日駆けてベースキャンプに残してきたポール達3人と合流し、急いで皇都へと帰って行った。
「今回は何よりも先に≪
今回はポール達含めサイラスとメイヴィルも皇城に乗り付けた馬車で待機させ、皇王陛下からの依頼を達成しに来た事を門衛に話をして伝言を頼んだ。
ユイエ・アズライールとアーデルフィア・ウェッジエルヴズの2名が皇室からの依頼に行き、戻って来たら直ぐに通す様にと伝達が行われていたらしく、迎えに来た近衛騎士に連れられて再び皇女殿下の居室へと通された。
近衛騎士は皇女殿下の居室のリビングに二人を通すと、入口を守っていた近衛騎士の1人に陛下への伝言に走らせた。
しばらく待つとドアがノックされ、近衛騎士が扉を開くと皇王陛下が護衛を連れて入室してきた。
「礼儀の成っていない恰好で申し訳ございません。なにより早く皇女殿下の魔法儀式を行うべく、皇都へ到着して真っ直ぐ参上いたしました。」
「よい。それより鮮度の良い≪
「「ハッ」」
「では早速始めてくれ。ユイエ殿は私と一緒にリビングで待機だな」
「承知致しました」
◆◆◆◆
「カミュラ皇女殿下。ご無沙汰しております。新しい≪
「アーデルフィア様。分かりました。早速ですがよろしくお願いいたします」
アーデルフィアはカミュラ皇女の了承をとると寝室内に魔法陣の刻まれた板を取り出し、そこに保管庫に入ったままの
「やって頂きたいことはこの前と同じです。上半身裸になり、心臓を密着させるように抱き上げて下さい。あとはこちらで儀式魔法を実施いたします。
「分かりました」
カミュラは侍女に手伝ってもらいつつ寝台から降りて所定の位置につくと、寝衣を脱いで
「では、開始します」
アーデルフィアが宣言し、
「(鮮度は十分。
アーデルフィアは流れる汗を拭う事もせず、
「(後は……よし、はみ出た部分も押し込められた)」
アーデルフィアは霊的触媒の移植作業を完了し、【
「(状態……問題なし。魔力炉融解症の症状が消えた。しかしカミュラ公女殿下も
「お疲れ様でした。霊的触媒の移植に成功し、魔力炉融解症が完治した事を確認できました。もう心臓から離れて頂いても構いません」
カミュラは指示されるままに心臓を箱に戻すと、侍女の【清浄】魔法で身綺麗にして寝衣を羽織り直した。
「これで、魔力炉融解症が完治したのですか……?」
「そうですね。私の≪鑑定≫でも状態は正常に変化しております。周囲の
カミュラが恐る恐るといった様子で
「……。痛くなりません」
カミュラがポロポロと涙を零し始めた。
「それでは、寝室を退去してもらった殿方達に施術結果をお知らせしてきます」
女性の近衛騎士が一礼して扉を開き、外で待機していた殿方達へ入室を促した。
涙を流しているカミュラをみて皇王陛下はぎょっとし、また失敗したかと落胆した。
「施術は成功しました。≪魔力炉融解症≫は完治しております」
「では、何故カミュラは泣いている?」
陛下の問いに、女性の近衛騎士が代わりに答える。
「カミュラ殿下は
「なんと……。そうか、そうか……」
ミヒャエルはカミュラを抱き締め、その瞳を潤ませていた。
「礼は後日、必ずする」
陛下の言葉に立礼を返すと、女性の近衛騎士と共に部屋を退室した。
皇宮から回廊を通って皇城に入り、正面玄関から外に出る。待機中の馬車の停車場にまで同行してもらうと、御者が戻ってきたことに気付いて馬車の扉を開けてくれた。
「本日は施術の件、ありがとうございました。指名依頼の依頼票に完了のサインをしますので、お預かりしますね」
ユイエが腰の
「ご対応ありがとうございました。それでは、我々はこれで失礼します」
挨拶をして馬車に乗り込み馬車が動き始めると、ようやく肩から力が抜けてダラッとした。
「対応は殆どアーデルフィア様が行ってくれたというのに、えらく疲れました……」
「同意ね。今日はもう休みたいところだけど、先に
「そうですね。肉や内臓は鮮度が良いに越した事がありませんし」
二人は
今回の戦果は赤種36頭、緑種19頭、黄種48頭、計103頭であった。
解体依頼も無事出せたところで屋敷でだらける癒しの時間を求め、帰宅する事にした。
(お願い事)
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