序章 第13話 探索者《シーカー》稼業(2)
不寝番にも参加するようになった。最初にサイラスが火の番と不寝番を行い、途中でメイヴィルに交代する。メイヴィルの後に交代するのがユイエとアーデルフィアの二人組である。二人は普段から明け方早くから訓練をしているため、遅くまで起きておくよりも早起きする方が慣れていた。
学園に入ってからの野営では遅くまで起きておくか夜中に途中で起こされて不寝番をする事もあるだろうと思うが、とりあえず今はサイラス達の厚意に甘えておく。
明け方前にメイヴィルに起こされてユイエが目を覚ますと、アーデルフィアにがっちりホールドされていて動けなかった。ユイエももう13歳、思春期の男子である。下手に動けずメイヴィルに目線で助けを求めると、ユイエの代わりにアーデルフィアを起こしてくれた。
陽が昇ってから朝食の準備をはじめていると、メイヴィルとサイラスが起きてきた。パンとハムの簡単な物であるが、野営飯としては十分である。食事が終わると天幕を片付けて火を消し、本日の探索をはじめ、【
【
最初に見つかったのは
「グアァッ!!」
「ゴフォ」
アーデルフィアが≪鑑定≫で
「
「え、そんなモノ触るの嫌よ?」
「ですよね。私も嫌なので魔石を取り出したら次に行きましょう」
再び【
「
「おそらく……」
アーデルフィアの先導で進んで行くと、
「前に戦ったやつより一回り大きいですね」
「≪鑑定≫してみたけど十分いけそうかな」
ユイエの感想にアーデルフィアがゴーサインを出す。
「それじゃ、行きますか」
サイラスがメイヴィルに目線をやると、メイヴィルが頷き返す。
「いつも通りに」
サイラスとメイヴィルが先行して駆け、左右から挟んで注意を引きつける。
「グルォォォッ!!」
サイラスとメイヴィルが注意を引きつけている間にユイエとアーデルフィアが接近し、サイラスに前足を叩き付ける様に振り下ろした瞬間を狙い、ユイエとアーデルフィアが飛び上がりつつ首に逆手に持った小剣を突き立てる。
サイラスは
アーデルフィアが≪鑑定≫で
「
「そうね、皆でやりましょう」
刃の入れ方についてサイラスのレクチャーを受けつつ、毛皮を剥いでいく。なんとか毛皮を剥ぎ終わると【清浄】の魔法で血液や汚れを落とし、魔石と一緒に
その後、見つけた魔物を順調に狩りつつ移動して行き、
途中、最寄りの宿場町で1泊すると、翌朝に馬車を借りて皇都へ帰還していった。
ギルドで
この戦果も日頃の訓練の賜物である。ユイエとアーデルフィアは訓練の結果として実績が積み上がっていく事に
◆◆◆◆
それから暫く経ったある早朝訓練の走り込み中のこと。
「最近ギルドで2つ名みたいな呼ばれ方するじゃない?【
早朝の基礎訓練で全力疾走のままで持久走をするような走り込みをしながら、アーデルフィアがぼやく。
「だったら勝手に自分で考えた恥ずかしい2つ名でも主張します?たまにいますよね、新人とかでそういう人」
「私は名乗るのが恥ずかしいような名前でなければそれで良いかな、と思います」
「もういっそのこと【
アーデルフィアが話題を振り、ユイエ、メイヴィル、サイラスの順で発言する。サイラスの発言には仲間に背中から刺されたようなダメージを感じた。
「事実でもイメージ戦略的に何とかマシにしよう、っていう話しでしょう?」
メイヴィルがサイラスを窘めるが、アーデルフィアとユイエとしては追い打ちを喰らった気分である。
「とは言ってもなぁ……。大仰な名前も恥ずかしいし、身バレに直結してしまうような名称も避けたい。殿下の2つ名に≪
「……無理。恥ずか死ぬ」
小一時間程甲冑装備の状態で走り込みながら悩んでも、結局コレだという対策案は出ず、再び先送りになった。走り込みの後は朝食の時間まで4人で模擬戦を中心とした戦闘訓練を行うのであった。
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