序章 第12話 探索者《シーカー》稼業(1)
ユイエとアーデルフィアが探索者登録をして1年経ち、13歳になった。
この1年は皇都周辺からエーギス領、神樹の森まで足を延ばして討伐系の依頼を受けてきた。最近は皇都の北側、【≪樹海の魔境≫】にも足を運ぶ様になった。新進気鋭の
早朝訓練に走り込みしながら
朝食後から昼食までの時間は座学に当てている。その間、サイラスとメイヴィルは騎士団の訓練の方に合流する。
ユイエとアーデルフィアは来年の皇立カグツチ学園の入学試験の対策を中心に、礼儀作法やマナー研修、教養教育もこの午前中の内で行っていた。
昼食後の午睡は卒業しており、食後はそのまま
≪身体強化≫の瞬発的強化、
地味な基礎訓練を重視するのはアーデルフィアの方針である。≪鑑定≫でしっかり結果が付いて来ているため、ユイエもアーデルフィアのやり方を信頼している。
飲料水が生成できる【水生成】、汚れを綺麗に落とす【清浄】、火種を作れる【発火】、暗い場所で視覚を確保するための【照明】、傷の消毒と応急処置が可能な【治癒】、蓄積した疲労を回復する【疲労回復】など、
最近は野営地作りや防衛陣地構築にも便利な土木系の魔法と、攻撃系の魔法の修得を課題としている。夕食近くの時間になると最後に
エーギス領と神樹の森領の騎士達にも、ストイック過ぎて変人の域だと噂される生活習慣である。生まれ持った才能はあるにしろ、誰よりも努力を続けている二人を両家の騎士達は誇りに思い、応援していた。
◆◆◆◆
翌日、ユイエとアーデルフィアはサイラスとメイヴィルを連れて
最初は依頼掲示板で動向をチェックし、気になった依頼があると受付嬢に詳細を訊きに行くのがいつものルーティーンである。気になる依頼がなかった場合でも、受付嬢に直接良い依頼が出ていないかを聞きに行く。
この場合の“良い依頼”とは、東は皇領からエーギス領、神樹の森領まで、北は皇領から≪樹海の魔境≫までを範囲とした討伐系の依頼で、それなりに難易度の高い討伐系の案件を指していう。
「エーギス領は平和そうですね」
エーギス領の依頼は殆ど常設依頼になっている魔物の間引き、野盗討伐ばかりであった。
「≪神樹の森≫の方は色々と出てるみたいよ。
アーデルフィアに言われてそちらに行くと、討伐依頼が多く貼り出されていた。
「本当ですね。それなら神樹の森に遠征して、見つけた魔物を纏めて倒す感じで行ってみましょうか」
ユイエが受付カウンターに行くのにサイラスが付いていく。
討伐証明の部位以外で、換金率の高い素材についてもメモしておく。≪
「移動はどうしましょう。≪神樹の森≫まで馬車を出してもらいますか?」
「ギルドですぐに出せる馬車があればお願いしようかしら。日を改めてって事なら家の魔馬の馬車を出しましょう?」
「承知いたしました。聞いてきます」
ユイエがカウンターに戻って馬車を確認してもらうと、魔馬の馬車が待機していたためそれを借りる事にした。普通の馬の馬車より利用料金は高いが、脚は速く体力も多い。利用料金を気にしなければ良い馬車だった。
皇都を出て皇都周辺の皇領からエーギス領に入り、領都や宿場町には寄らずに通り過ぎて神樹の森へと向かう。途中で野営を挟みつつ、2日目の昼過ぎには神樹の森の端に到着した。
「ここまでで結構です。ありがとうございました」
エイルが御者に礼を言い、サイラスが利用料金にチップをのせて支払いを済ませる。こういう時の出費はパーティの共同運用資金からの捻出である。
専業の
「さて、【
アーデルフィアの方針に異論はなく、最初は街道沿いに歩き周辺に魔物を見つけると間引いていく。
半日ほど歩き回った所で陽が落ちる前に野営準備に取り掛かる。
ユイエとアーデルフィアが天幕を建て、その間にサイラスとメイヴィルが簡易な竈を作って火を熾す。皇都で買っておいた食材で簡単なシチューを作り、皆で食事を摂った。
(お願い事)
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