序章 第8話 氣《プラーナ》(1)
対魔物と対人の実戦経験を積んで帰ったユイエとアーデルフィアは、
二人はリオンゲートに礼を言い、侍女のマチルダの案内でサラの部屋へと急いだ。マチルダが部屋をノックし、サラの在室を確認する。
「サラ・ヴァジーラ様、いらっしゃいますか?生徒となるお二人がお帰りになりました」
すると中から部屋が空けられ、薄茶色のボブカットから
「こんにちは。アーデルフィア・ウェッジエルヴズです。先生、よろしくお願いします」
「こんにちは。ユイエ・アズライールです。先生、よろしくお願いします」
二人の自己紹介にサラが頷き、腰をかがめて視線を合わせると、自己紹介を返してくれた。
「こんにちは、かわいい生徒さん達。私が
「ありがとうございます。私達は
「そうですね。
アーデルフィアとユイエが取っ掛かりで詰まっている事を伝える。
「なるほど。
「そうです。
アーデルフィアの返事に、サラが
「うん、少し試してみようか。中に入っておいで」
サラが扉を引いて中にアーデルフィアとユイエ、マチルダを迎え入れた。
「まずはユイエ様。両手の掌を上にして手を出してみて。これから私の
サラの指示に従って手を差し出すと、その手に掌をかぶせるようにしてサラが両手を乗せた。
「どう?何か感じられるものはあるかい?」
サラの
「なんとなく……。
「なんとなく、か。でも感じたんだね。次、アーデルフィア様。両手出して」
サラに促され、アーデルフィアも両手の掌を差し出した。
「お願いします」
「うん、それじゃあ流してみるよ」
サラがアーデルフィアの掌に両手を合わせ、ユイエに試したのと同じように
「君はどうだい?流れを感じられるかな?」
アーデルフィアは両手の掌に意識を集中させる。ぼんやりとであるが体温以上の熱を掌に感じ、その熱が右手から左手に流れていくのを感じた。
「熱?サラ先生の体温以上の熱が、右手から左手に抜けていくような……不思議な感覚がします」
アーデルフィアの回答に、サラは掌を解いて頷いた。
「うん、二人ともそれが
サラのお墨付きをもらい、二人は安堵する。
「素養アリですか。良かったです。
ユイエとアーデルフィアが頭を下げて頼み込んだ。
「うん。穏便な
サラの物言いにユイエが首を傾げて聞く。
「穏便じゃない方法もあって、それなら早いって事でしょうか?」
「聡いね。その通りだよ。ちょっと荒っぽいやり方でも良いなら、私が
「荒っぽいとは?無理矢理回路を開いてもらうとどうなるのですか?」
ユイエが重ねて質問する。
「端的に言って滅茶苦茶痛い。大の大人でも気絶するくらい。無理矢理に回路をこじ開ければ
サラがそれでもやってみるかと言わんばかりに二人をみる。
「滅茶苦茶痛い……。分かりました。まずは私からやって下さい」
ユイエがサラに頭を下げた。
「さっきも言ったけど、滅茶苦茶痛いうえに結局効果が出なくても、苦情は受け付けないよ?」
「はい、それでも良いのでお願いします」
サラはチラッとマチルダを見るが、止める気がなさそうなのでそのまま進める事にする。
「分かったよ。それじゃユイエ君からいこうか。長椅子に横になって。侍女さんは出来れば消音の魔法で耳を塞いでおいて」
(お願い事)
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