気力を分けて貰えた
朝一、憂鬱な気持ちで沈んでいた。
家にいてもどうしようもない。何も変わらない。
だから、私は家を飛び出した。ふらつく足取りで一歩一歩、前に進みだした。
そうして辿り着いたのは、家の近くにあった川沿いの土手。
今の土地に引っ越してきてから、一度も足を踏み入れた事の無い場所。
そんな場所で、私は川の流れをただただジッと眺めていた。
特に何もする事なく、地に腰掛けて川の流れを見続ける。
近くを飛び回る小さな虫たち。川に浮かぶ水鳥。そして空を掛ける鳥たち。
みんな、悩みなんて関係ないとばかりに、ただ生きていた。
彼らは、もしくは彼女らは何かを悩んだりするのだろうか。
自分たち、人間よりも過酷で生きるには大変な環境の中、必死に生きる生物たち。
私はそれを見ながら、川の流れを見ながら、自分の存在のちっぽけさを感じた。
それから私は川辺を離れて、所かまわず知り合いに電話を掛けた。
歩く足取りは重く、一歩を踏み出すのに数秒掛かるほど重い。
けど、口調はどこか元気を取り戻しつつあった。
電話越しの相手に向けて笑いながら、歩くのが大変だよと語り掛けた。
たった1キロにも満たない距離を1時間も掛けて歩いて私は家に帰ってきた。
帰ってきた時、起きた直後よりも心はどこか軽くなっていた。
そうなると、自然と腹が減って何か食べたくなった。
買い物に出掛けて、飯を食べて、水分を取り、そして薬を飲んだ。
少しだけ気力が湧いてきたから、私は横になって動画を見た。
色々と見ている中で、私はある動画を目にした。それは戦争時の特攻隊の動画。
桜花特攻隊や神風特攻隊、そして散っていった彼らの遺書の内容を詰めた動画だった。
御国の為にと散っていき、本当は生きたかった、死にたくなかった、そして家族に当てた手紙の数々。
そんな彼らの勇姿と生き様、言葉を聞いて何て自分は小さいのだろうかと思った。
決死の想いで、必死に生きた彼らと比べて、自分はどれだけ矮小な存在なのだろうか。
そう考えると、私は泣かずにはいられなかった。けど、それは悔しさの涙じゃない。
感動の涙だ。心を揺さぶられた。彼らがいなかったら、私はここにはいなかったのかもしれなかったから。
ちょっとの理不尽に振り回されて、自分の在り方に疑念を持って、心を塞ぎ込んでしまった、そんな自分が馬鹿みたいに思えた。
そして、皆さんから貰ったコメントからも元気を分けて貰えた。
こんなネガティブな内容しか投稿していない私に、励ましの言葉をくれた。
周りの人たちもそうだ。親を始め親戚、同僚、上司と心配をして声を掛けてくれた。
それなのに、自分が立ち止まっていたら、それこそ本当に憶病者でしかない。
ねだるな、勝ち取れ、さすれば与えられん。
私の好きな言葉の一つ。あるアニメの言葉である。
頑張って前に進もう。そして掴み取らなければ。そうしなければ、何も変わりはしない。
ありがとう、偉大なる先人たちよ。
ありがとう、このカクヨムとい場で縁を結んだ友たちよ。
ありがとう、私を支えてくれた周りの仲間たち。
そして最後に、遥か遠くで見守ってくれている故郷の家族に、ありがとう。
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