第12話
なんやかんやで話はまとまり、結局城内にある演習場に移動した俺達と王国の騎士たち
セリーヌとサブロウがさんざんに煽ったせいで騎士団側は城内にいる貴族とその騎士がほぼすべてが集まってきた。
王家の騎士団は砦に多くの兵力を回している為国内の防備などは貴族たちが兵力を集めて何かあった時に備えているのだ。
「イチロウ殿確かに急な話ではありますが、これは必要なことではありますよ、なんだかんだと言っても強いものは人族の世界でも敬意を払われます、神と戦い倒したというその力を見せればこの場に集まる騎士たちもイチロウ様を認めるでしょう」
そう声をかけてきたのは第一王子のアイン王子だった、この世界は生存競争が激しい世界で強さが敬意を集めるパラメーターだというのはわかるのだが……
「いや俺戦えないんだけど」
正確には俺が戦うと王都が消し飛ぶというのが正しいのだが、位階が一気に上がったせいで力の制御が効かないのだ、日常生活で不都合なく生きる程度の力の制御はできるが、戦闘を行うとなると撫でるような力で殴るか王都を平にするかの二択になる程度には力の制御が効かない。
「安心しなよ兄貴、兄貴の代わりに俺達が兄貴のすごさを騎士たちの体に教え込んでくるよ」
「うむ、信仰する神の力を示すために戦うのも使徒としての仕事だからな、サブローよどっちが多く倒せるか競争といこうではないか」
満面の笑みを浮かべながら、戦闘馬鹿二人が俺に声をかけてくる、お前らはただ暴れたいだけで俺をだしにしてるだけなんだろうけど、言ってることは間違っていない。
この世界では古くから神の名のもとに戦争は何度も起きてきた、そして勝った方は大体が神の介入があり神を理由とした戦いは勝った方が正しいで納得されることは多いのである。
「やりすぎないようにな、お前達も位階が上がったばかりで力加減が効かないかもしれないから相手を怪我をさせないように気を付けるように」
……疲れたもうあとは任せてしまおう。
なんだかんだ言って俺も少し前までただの雑兵の人狼で、そんな存在が急に勇者と戦い勝利し、魔王軍の精鋭を率いる将軍に勝利し、最後には神をかみ殺したのだ、顔には出さないようにしてきたが疲労は間違いなくたまっているしもともと弟を生かすことだけ考えてきた俺が急に一国の王に敬意を払われたことで精神的疲労まで追加されているのだ、多少投げやりになっても許されるはず……
俺の許しを受けたからか戦闘狂二人三男のサブロウと剣聖のセリーヌが楽しそうに敵の前に立ち、それをサポートするように勇者ラシーと末っ子のスピードの速いゴロウが、最後尾に指揮官としてジロウが立ち、左右には聖女のラランと魔法使いのレイナが三人を守るように一番体が大きくシロウが全員を庇えるようにそびえたつ。
「これから模擬戦を始める、この模擬戦は彼等の主であるイチロウ殿の力のいったんを示す為のものであり、彼の使徒である8人が貴族や王国騎士団を圧倒することで彼等の主神であるイチロウ殿の力を示すためのものでもある、双方勝ち負けに関係なく遺恨を残すことないように」
模擬戦の審判はダン将軍とブレイブ王が務めるようだ、なんだか事が大事になってる気もするけど好きにしてくれ……明日は明日の風が吹くよう……
ダン将軍が開始の合図をかけると同時に前衛のセリーヌとサブロウが敵陣に切り込む、二人で競うように敵を倒しているがどうやら動きを見ると目的があるというより後方で指揮を執ってる貴族や騎士を狙ってるのかな?
ゴロウはその小さな体を生かして騎士の間をすり抜け、横を通り抜ける時に置き土産のように一発攻撃を叩きこんでいく、遠目から見ると鬼ごっこで遊んでいる子供のようだ。
勇者は魔法による支援をメインにしつつも剣と盾で堅実に敵の注意を引いている、派手に動く3人に気をとられると勇者がヘイトを奪う様に横切り敵を倒していき、勇者にヘイトが集まれば他の三人が自由に動き回る。
この構図こそがこの世界で強いものが尊ばれる理由だろう、戦争は数なのだ、ただし有象無象の数ではなく、圧倒的な子の持つ戦力という意味での数だ。
12機のリック〇ムが3分で落とされたように圧倒的な個の戦闘力の前には有象無象は数に値しないのだ。
「ビグ・〇ムを送ったギレンもあながち間違いじゃないと思うよぼかぁ……」
「突然何を言ってるんですか貴方は……」
俺が思いついたことを口にすると横で観戦していたシャルロット王女が呆れたような顔をこちらに向けてくる、彼女はどちらにも属さずに俺と一緒に後方からの観戦組だ
王家なのにいいのか?別に神を信じてないのでそれよりもラシーお姉さまの初陣を見守るほうが優先度が高いですわと前線で戦う勇者ラシーの背中、いや尻だな、うん尻を見つめていた。
どうして俺の周りは個性の強い人間が急に生えてきたのだろうか神の嫌がらせか?等と殺した神をもう一度苦しめて殺したいなぁ等と考えているとサブロウの支援を受けてセリーヌが前線を抜けて後方で指揮をとっている騎士や貴族に到達すると笑顔を浮かべながら執拗に指揮をとっている人間をいたぶり始めた、えぇ……
「セリーヌ様は女性のみでありながら剣聖という職業を神から与えられていろいろと嫌がらせを受けていたみたいですので……」
俺がどんびきしながら戦場を見ていると横でシャルロット王女がセリーヌを庇う様に説明してくれる、なるほどという想いと同時に兜を引きはがしてカツラを奪うセリーヌを見てどんだけストレスたまってたのかと改めてどんびきするのだった。
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