第6話

「ギリギリ間に合いそうだな」

ブレイブ王が俺のことを崇めたことで俺は神としてこの世界に認められた。

これでやっと使を作ることができる。


【使徒】とは神がこの世界で使う手ごまであり、力を与えて任務を達成させる部下のようなものだ。

勇者やその仲間も元々は神の【使徒】だ、俺は彼等を殺したことでその魂を体に取り込んでいる為、今ならば【使徒】として再臨させることができる。

もちろん時間が経てば魂の情報が薄れてしまい元の人格を宿して再臨するのは難しくなる、故に急いで俺を神と認めさせる必要があったのだ。


「神のしもべとして降臨せよ、勇者ラシル、剣士セリーヌ、僧侶リリア、魔法使いレイナよ」

俺は自分の胸を切り裂き腕をその中に入れて心臓に触れる。

彼等の情報はここにありその情報を取り出して世界に改めて命を与える、最初は小さな光だった、だがそれはだんだんと大きくなり人の形をとり、強い光を放つと傷以外は殺したときそのままの姿で地面に4人の人間が横たわっていた


「ゆ、勇者様!!!」

最初に反応したのは王の横で事の成り行きについていけなかった第三王女だ。

地面に横たわる勇者に飛びつくと胸に耳を当てて心臓が動いていることを確認し、父である国王に涙を浮かべた笑顔を向けて生きている生きていますと大きな声で叫ぶ。


「王女よ、悪いがそれで終わりではない少し離れていてもらっていいか?」

俺がそう声をかけると大きな声ではい!と叫び少しだけ距離をとる。

そうまだ肉体を再生しただけであり、彼等の魂はまだ宿っていないのだ。


「ラシル、セリーヌ、リリア、レイナこれよりお前達を俺は使徒として迎える、だがこれはあくまでもお前たちが望べばだ、お前達には二つの選択肢がある、一つは俺の使徒になること、もう一つは心安らかに輪廻の輪に向かうこと、どちらを選ぶ?」


俺がそう声をかけると4人の魂が前世の形をとり宙に浮かぶ

「イチロウ様、まずは僕の願いを聞いていただきありがとうございます」

そういって頭を下げるのは勇者ラシルだ、俺に殺されたというのに恨み言一つ言わず下げていた頭を上げると笑みを浮かべる。


「まったくだ、重い荷物を死に際に背負わせやがって……俺が一人で背負うには重すぎる、お前も俺の部下になって背負え」

こちらに笑みを向けてくるラシルに俺も笑みを浮かべて言うとラシルは一瞬きょとんとした表情を浮かべてからくすりと笑い


「わかりましたわが神よ、貴方に押し付けた荷物の一部改めて僕が背負い直しましょう、次は誰かに頼るのではなく僕自身の手で故郷も守りたい人も守って見せます」

そういって俺の手を取るラシル、彼でまずは勇者を使徒にすることができた。


「俺もお前の使徒になろう、俺はお前を殺すつもりで挑んで結局負けた、だがお前の使徒になれば生き返ってもっと強くなれるんだろう?ならば受けない理由はない私の望みはこの世界最強になることだ」

剣士セリーヌが俺の手を取る、よく覚えていないがたしかにセリーヌはこういう言葉を吐くのが自然に思えた。


「私も受けてあげる、まだまだ知りたいことは多くあるのだから」

魔法使いレイナ、彼女もまた再臨することを望んだ、セリーヌが剣の道を生きるものならレイナは魔法使いとして探求の道を歩むものだ、彼女なら再臨の際にその現象すら解明しようとするかもしれない。


「……再臨とは肉体も再構築されるのでしょうか?」

一人渋ったのは僧侶であるリリアだ、彼女はゼファー教会で聖女の認定を受けた少女であり、もっとも前のゼファー教会と縁が深いものだ。

彼女はその中でも聖女と呼ばれる特別な存在であった、当然教会に深い関りがあるので神を変えることになることに嫌悪感を持っているのかと思ったがどうもそうではないようだ。

何か事情があるようだが無理に聞く出すこともないだろう、彼女が生き返ることを望まないのなら無理に生き返らせることもないのだから。


「他の3人もそうだが、再臨の際には改めてお前たちが今後生きる肉体を再構築してもらう、といっても急に姿かたちを変えるのは日常生活にも支障がでるだろうからおすすめはしないがな。

そもそも4人とも人狼である自分から見ても整った顔立ちと体を持っている、わざわざ変える必要などないだろう。」


俺がそういうと4人はきょとんとした顔を浮かべる、なんだその顔は俺に人間の美醜がわからないとでも思っているのだろうか、これでも前世の知識があるからか人族を見るのに自信があるのだが?

俺が不満げに彼らを見たからだろうか、彼等は顔を見合わせて声を上げて笑う。

一通り笑ったあとすっきりとした顔で僧侶はこちらを見て自分も頭を下げて再臨させてほしいと頼んでくる。


こうして4人はこの世界から一度離れ新たな自分になるのを俺達は待つのであった。


=====

再臨=キャラメイク

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