隣の家の学年一の美少女の正体は、魔法少女でした!?命を助けて貰ったのでお礼にご飯を作ったら、毎日家にやってくるようになったんだが。

冬たけのこ🎍

プロローグ




『ピンポーン』


 窓の外では大粒の雨が降り続く中、のんびりテレビを見ながら晩御飯を作っていると、家のインターホンが鳴る。

 高校生ながら一人暮らしをしている俺の家に、こんな時間から人がやって来るなんてこと、少し前ならばあり得なかったであろう。


『ピンポーン』


 もう一度インターホンが家のリビングに鳴り響く。


「は〜い!今行くから!」


 俺はそう声を張り上げ、キッチンを出て廊下へと進む。

 そして玄関のドアを開けると、そこにはアイスの入ったレジ袋と、先端にハートが付いた可愛らしいステッキを持った美少女、そしてお隣さんの春川桃香はるかわももかが立っていた。

 腰まで伸ばした明るい栗色の髪に、整った顔と、透き通るような肌が完璧なバランスで調和しており、学年一の美少女と噂されているのも納得だ。


 彼女と同じ高校である俺は、春川さんの姿をよく見るが、常に周りには女子達がガードを形成しており、男子達が近づくことは一切出来ないほど周りから愛されているのだ。

 そんな彼女が隣に住んでいて、尚且つこんな時間に自分の家に来るだなんて、クラスの男子からしたら羨ましすぎる状況だろう。


「ん、やっと来た。こんばんわ、白沢しろさわくん」


 俺よりかなり身長の低い春川さんは、俺の顔を見上げながら言う。


「どうも、春川さん。お疲れさま」


「ふふっ、ありがとうございます。お邪魔します」


 春川さんはそう少し笑って、玄関で靴を脱ぎ、俺の家のリビングへと向かう。

 外は大雨であったはずなのに、傘も持たずにやってきた春川さんの髪は全く濡れていなかった。


 俺も後を追ってリビングに戻ると、春川さんは近所のコンビニで買ってきたであろう、新発売のアイスを冷凍庫に詰めている最中だった。

 春川さんは家に来るたびに、アイスを2、3個買って来るので、最近俺の家の冷凍庫の大半がアイスで占められるようになってきた。


「白沢くん、今日の晩御飯はなんですか?」


 春川さんは、その長い髪をフワッとたなびかせながらダイニングテーブルへと座る。


「今日はハンバーグだけど、大丈夫だったか?」


「ん。分かった。大丈夫です……」


 そう呟いた春川さんの表情は冷静なままだが、口角が少し上がっており、わずかに横に揺れていて、嬉しいのだということが見て取れる。

 その言動がまるで、もふもふな小動物のようで、とても可愛らしい。


 俺は何だか気恥ずかしくなり、春川さんから目を逸らして、キッチンで晩御飯の用意を進めた。




 *****




「ほら、出来たぞ〜」


 俺は、焼きたてのハンバーグにお米と味噌汁だけの簡単な晩御飯を、ダイニングテーブルに運び、春川さんの向かい側へと座る。

 春川さんは目の前に置かれたハンバーグを目を輝かせて見つめていて、とてもご機嫌なようであった。


「ん……美味しそう……」


「どうぞ、召し上がれ!」


「それじゃ……頂きます」


 そう言って、春川さんは箸を手に取って、早速ハンバーグを口へと運ぶ。

 春川さんは、その小さな口を小刻みに動かしながら、目を瞑って、ハンバーグを味わっていた。


 その表情はまるで子犬のような愛おしさで、見てるとなんだか幸せな気分にさせられる。


「とっても美味しいです……って、私の顔に何か付いてます?」


「え……あ、いや、何も付いてないよ」


「そうですか……?それなら大丈夫です」


 そう言うと、春川さんは黙々とご飯を食べ続ける。

 本当は、春川さんの顔の愛おしさに見惚れていたのだが、そんなこと本人に言える訳もなく、俺も黙ってご飯を食べ進めた。




 *****




「ごちそうさまでした。とっても美味しかったです」


「お粗末さまです。そりゃ何よりだ」


「ふふっ、白沢くんは本当に料理がお上手ですね」


 春川さんはそう言って、自分の食器をシンクへと運び、そのまま先ほど買って来たアイスとスプーンを持って来た、次の瞬間だった。


『ぷるぷるぷるぷる!ぷるぷるぷるぷる!』


 という、けたたましくもどこか不思議な雰囲気を感じる音が春川さんのスマホから部屋中に鳴り響く。


「うっ……今からアイス食べようって時に限って……」


 春川さんは、アイスをダイニングテーブルの上に置き、急いでスマホを手に取って画面を開く。


「また呼び出し?」


「そうみたい……はぁ……白沢くん。そこのアイス、冷凍庫にしまっておいて貰って良いですか?」


「分かった!気をつけてね」


「ふふっ、白沢くんのハンバーグを食べて元気満タンですから安心してください」


 そう言って、春川さんはにこやかに笑い、可愛らしいステッキを手に取り、マンションのベランダから大粒の雨が降る夜の街へと飛び降りた。



 そう。

 学年一の美少女、春川桃香の正体は魔法少女なのだ。


 俺が、なぜその秘密を知ることとなり、このような関係に至ったのかを話すには少し前に時を遡る必要がある。





 ーーーーーーーーーー



 ラブコメ要素9割、魔法少女要素1割のラブコメです!


 こういう物が需要ないのは分かりきってはいますが、のんびり更新頑張ります。

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隣の家の学年一の美少女の正体は、魔法少女でした!?命を助けて貰ったのでお礼にご飯を作ったら、毎日家にやってくるようになったんだが。 冬たけのこ🎍 @budoumikan

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