第3話 戦闘員、キーリエル

赤いランプが点滅し、けたたましくサイレンが鳴り響く。キーリエルは両手に刀身の真っ白く光るダガーを握り締め、無機質な長い廊下を、出口に向かって全速力で駆けている。

地下施設だから窓もなく、天使としての能力もだいぶ制限されるとなれば、こうしてほぼ人間のように戦い、逃げるしかないのがつらいところだ。


と。前方に何やら現れたのが見えた。後ろから追ってきているものと同じ、人型のロボットの群れだ。


挟み撃ちか。


ならば仕方ない。キーリエルは走りながらダガーを構えた。自分の中の殺気を呼び起こす。やられるという概念を捨てる。敵とあと数メートル————今だ!

両腕を薙いだ。右で二体、左で一体のロボットが、ガチャガチャと音を立てて崩れた。一回の攻撃で全部をやれるはずはなく、前方にいるロボットが腕を振り上げてきたのをさっと避け、逆袈裟斬り。胸から上が綺麗に切れて吹っ飛び、胸から下はその場に倒れ込むそのロボット、すぐさま横から襲ってくる刃を避け————きれずに、おとがいに切り込みが入ったのを感じた。痛みはまだない。心身ともに興奮状態だから。


怯まずに、キーリエルは両手のダガーを振り回し続ける。

急がなければ。ちょっと時間がかかりすぎている感覚がある。ここへ来たのが夜中の二時頃。それから何時間経ったろう。学校へ行く時間までには、帰れるだろうけれど。

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