第3話

学校


ゆったりとしたなにもない時間が過ぎていく。


筈だった。


「イタッ」


足が引っ掛かった。


「・・・ご、ごめん!!優」


夏は必死に謝る。


「何だよ。まだ続いてたのかよ」


「違う、今のわざとじゃなくて!!」


顔からして確かにそんな感じはして居る。


「他人の足に引っかかるように足を伸ばすなよ」


「・・・ごめん」

 

________



連絡が入る。


助けてください 


       夏


何だよ、これ怪し過ぎるだろう。


とりあえず保存して放置しよう。


________


「本当にごめんなさい」


夏が土下座して居る。


「なんだよ、昨日のことはいいよ」


「それもそうなんだけど、私のせいで、私のせいで」


何だよ。


「妹の退学が決まりそうなんです」


「はぁ??」


________


どうやら、話によると妹さんは私立で家にはお金がギリギリのようだ。


そんな状況のなかで、夏は就職を決めていた。


だが、退学したメンバーの一人が夏もしたことを訴えたのだ。



いつかは、こんなことが起こると思ってたし、それが春じゃないことが幸いだったが、



「それで、就職先を断られて。妹は今から働くって辞めるって言い出して」


俺が庇ったの完全に意味ないやん。


「お願い、私のことはどうなってもいい。だけど妹だけは高校を続けてほしいの!!」


見て居るクラスメイトも同情の視線を向ける。


「つまり、俺が就職先に話をつけろってことな」


「そうです。お願いします」


「嫌だよ」


「お願いだよ!!妹が悲しませたくないなの」


泣きながら哀れにせがんで来る。だが


「妹さんには悪いけど、就職先がしてしまったことは本当にあったことだし、俺がいいに言ってもそれが起きていたことは変わらない」


「・・・そんな」


「そもそも俺だって、会社は夏さん虐めが酷い人だから雇わないと決めたのは正しいと思うし、俺個人のことなら俺が我慢して終わりだった。でも今はそうじゃなくなった。」


「・・・ぅ」


「それにそもそもここに居る人も含めてさぁ、こうなることをわからないから暴力も振るって、物を壊して来たんだろう。」


クラスメイトも下を向く。


「俺だけだぞ。夏は俺に妹を守って偉そうな口を言ってきたが、俺は庇ったんだ。」


「・・・っ」


「確かにきっかけは俺だったことよ。だが別にそれはどうでもいい。他人より自分だ。そうして、やられまくって仕方そうと至極真っ当なことをしただけ。その過程で可能な限り巻き込みたくないから、一部は許したんだよ」


そして、夏による。


「そうだから、結局は守る庇うと言いながら俺だってこうやって妹さんを傷つけた。だがなぁ」


夏は泣いて、もう聞きたくない。聞くのが怖いって顔をして居る。


「理由も、してはいけないことをして、結果的に妹さん共々地獄に落ちるようなことをしたお前よりマシだよ!!」


「・・・ごめんなさい。ごめんなさい」


もう何度も聞いた言葉だ。


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