はいしんにっき 6日目


「ふぁぁ。ねむ。まあ今日もやること多いしな。とっとと済ませていくか。」


 俺こときょうは、いつも通りの時間に起きて、いつも通り朝飯の支度をして、だが今日は、いつもと違うことがある。そう、アイツがいるということだ。来客用の部屋に向かい、コンコンッとノックをするが、返事は無い。しかし起こさなければいけないため、そのまま部屋に入る。


「すぅ、、、すぅ、、、すぅ、、、」

こいつの名前は松也まつや。俺の大親友であり、幼馴染だ。いつもはうるさいしとてもウザイがなんだかんだで察しが良かったり本人も馬鹿でかい爆弾抱えてたりするやつだ。まあそんなんだからここまで関係が続いているというのもあると思うけど。


「ほら松也起きろ朝だぞ」

「ふにゃぁぁ、、、ふぇ?浹?なんれ?」

「なんでってお前が昨日泊まるとか言い出したんだろうが。」

「ぁーーー。ん」

そんな声にもならないような声を発しながら俺に両手を差し出してきた。


「起こせってか。しかたないなぁ。」

そう言いながら松也を抱えようとすると。


グイッ


「うわ!」

「えへへぇーー ぎゅーー」


ベットに引きずり込まれた挙句抱き枕にされた。


「安心すりゅぅ、、、」


こいつも昨日なんだかんだ言って一歩を踏み出したんだから、色々怖かったのかな?仕方ないからこいつが起きるまで抱き枕にされてやることにした。

(ってなんかこいついい匂いするし色々当たってるし、、、って何考えてんだ親友相手にバカか俺は!?)

それでもこのうるさい鼓動が鳴り止まないのだった。

「ぁんしんしてね、、、」

そんな呟きが聞こえたような、、、

「んぁぁ」

バシ

「痛って、やっぱこいつ殴ったろか」

あれは気の所為だな、こいつのことだから。


〜二時間後〜


「ん、、、、んぅ、、、ふぁぁ、、よく寝た、、って浹!?」

「やっと起きたか、、、」

「なんで一緒の布団で寝てるのよ!」

「あーそれはかくかくしかじかで、、、」


〜さらに十分後〜


「なんかごめんね?浹」

「別に気にしてないからいいよ。そっちこそむさ苦しい男ですまんな」

「そんなことないよ。(それに渡來だから安心するんだし、、、って僕は何を考えているの!?)


なんかひとりで悶え始めた。まあ今までもたまにあったから放っておいてやろう。ってなんかさっき俺も同じことがあったな、、、まあいいか。


「ふう、ごめんね浹。それで今日は配信しないって言ってたけど何するの?」

「一応大阪に出て、まっちゃんのパソコン買いに行こうかと思ってる」

「なるほどね。まあ必要だもんね。」

「てかこれから『まつ』って呼んでもいい?」

「いいけど、、、どうして唐突に?」

「長くて面倒くさくなってきた。」

「(理由がショボイ、、、)まあいいよ。」

「おけ。ならまつ、朝飯食って早速出かけるか!」

「おっけい!」

((てかこれもはやデートなのでは、、、))

朝からのハプニングのせいでちょっと思考が変な方向に走っていく二人であった。by黒俺。


 電車に揺られること一時間半。

「大阪に、帰ってきたでーーー!」

「なんで唐突に大阪弁出した?」

「気分や。なんか久々に喋りとぅなってん。ええやん別に。」

「いや、いいけどお前和歌山生まれ和歌山育ちやろがい。ただ引っ越しただけやんか」

「こぉーら。そこ言わない。」

「事実だし。てか朝の大阪行きの和歌山線ってあんなに人多いんだな」

「だから言ったじゃん。案外人多いんだよって。」

「ほんとだったな。まぁ駅で突っ立っててもあれだし、まずはまつの家に行くか」


~移動中~


「着いたーーー」

「それにしてもこの家に来るのも久しぶりだな。」

「四年ぶりくらい?だもんね。ほんっっっとに心配したんだからね!!!次からはちゃんと相談してよね!」

「うぐ、、、悪かったとは思ってる。善処するよ。」

「ちょっとでもちゃんと頭に留めておいてよね。相談できる人がいるってことを。」

「分かったよ。ほんとにすまんかった。」

「まあ暗い話ばっかり立ち話ばっかりもなんだし家に入ってよ!」

「そうするか。」

「じゃあ行こっか。ただいまーーー。浹連れてきたよーーー」

「お、お邪魔します、、、。」

すると奥からドタドタと音が聞こえて

葵結あおい~それほんとなの~」

「お母さん!他の人がいる時にそう呼ばないで!」

「別にいいでしょ~~きょうちゃんなら~知ってるんだから~」

「前に状況話したでしょ!?察してよ!」

「そういえば~そうだった気が~、、、」

「もう、おっとりなのはいいけど忘れっぽいのはやめてよね!」

「ごめんって〜〜。それより~~。お久しぶりね。元気にしてた?」

「あいかわらずその変わり身とおっとりはどうにかならないんですか」

「多分無理ね。どうしても家族の前だと気が抜けちゃうから。」


この人がまつのお母さん、宇治うじ かおるものすごくおっとりで、ものすごく忘れっぽくて、ものすごくナイスバディな人だ。この人もう齢40は越してるはずなのに未だに二十代にしか見えない。オマケに童顔だからほんとにこの子を産んだんですかって感じ。未だにナンパとかされてるらしい。


「おばさんは相変わらず若く見えますね。ほんとに年齢偽ってないんですか?」

「あら、そんなにおだてても何も出ないわよ?」

「僕はこんな性格の親で苦労したけどね、オマケにあの見た目とかを受け継いじゃったから、未だに身長は伸びないし、高校生だと信じられないし、僕男なのに女に子にしか見られないし、、、」

「まあ仕方ないよそこは」

「そうねぇ。私も変えようにも変えられないしねぇ」

「忘れっぽいのはどうにかして!」

「ほら、こんな所で問答してないでさっさとやること済ませてきな」

「はーい」

「あら、遊びに来たんじゃないの?」

「買い物に行くからお金貰いに来たの」

「何買うの?」

「えっとね、、、」

そんなふうに会話しながら入っていった。


2人とも、てかこの家の家族は本当に察しが良すぎるんだよな。4年ぶりに家から出て、4年ぶりに家族とまつ以外の人と話して、本当に久々で、どんな傷をどうえぐられるか分からないような状態で本当に怖かったのに、一切触れないでいてくれて。

『ぁんしんしてね、、、』

、、、もしかしたら、朝のあれもわざとだったのかもしれない。まぁそのあと爆睡してたがな。

「ありがとな、まつ」

聞こえるはずない人に向けて、でないと言えないからね。


「お待たせーきょう!」

「じゃあ行くか」

~移動中~


「というわけでやってきました大阪電気街!」

「いえーい!」

「俺としてはほぼ数年ぶりなんだが、まああんまなんも思わねえな。」

「そう。なら良かった。じゃあ今日は楽しもう!まずどこ行く?」

「まずはパソコン店行こう」

そうして俺もパソコンを買った(通販だけど)店に入った。

「「「いらっしゃいませーー」」」

「きょう?どんなものを買えばいいの?」

「まずは用途と金額で分けよう。予算はいくらだ?」

「親に言ったら50万くれた。」

「はあ!?バイク買えんじゃねえか、、、どこからその金出てきたんだよ、、、」

「なんか昔出てた大会の賞金だってさ。」

「お前が稼いだ金かい。なるほどね。なら周辺機器の分を抜いて40万位は使えるな。んじゃあ用途だな。たまに俺ん家にパソコン持ってきた配信したり、パソコン持って頻繁に移動したりするか?」

「うーーーーん多分するんじゃないかなあ、、、。授業とかでも使いたいし。」

「ならノート型だな。ちなみに俺は絵とかも書いたりするからタッチパネルもついてるこれを選んだんだが、、、」

そうして指を刺したのはA〇USのZe〇book 〇ro D〇o O〇EDの最上位モデルだ。

「ただまつはあんまりそんな事しないだろ?」

「まあね。むしろゲームとか動画編集、歌ってみた撮ったりする方が多いかな。」

「なら単純に性能が高いやつを選ぼう」

そうして俺が指さしたのはM〇I Al〇ha 17だ。

「これならCPUは現行品最高と言ってもいいレベルだしGPUも問題ないくらい強い。ある意味俺とは逆だな。俺はGPUが最強でCPUは強いくらいだからな。」

「んーーーやっぱりよくわかんないや。」

「まあだろうな。この辺りはわかる人が一人でもいたら十分だ。これで37万くらいだから、次は周辺機器たちだな。」

「おっけい!」

こうしてキーボード、ヘッドホン、モニター、ドック、マウス、など一式を全購入して、


「以上だな。」

「結構多いんだね。」

「まあやることが配信という結構高度なことだから、機材にもお金がかかるんだよ。」

「そこは仕方ないね。特にほかに趣味がある訳でもないし、むしろ有意義な使い道があってよかったかな。」

ちなみに荷物は後日郵送にしてもらった。

「有意義じゃない使い方ってなんだよ。」

「めっちゃ外食に行く。」

「太るぞ」

「あとはゲーセン」

「金消えるだけじゃねえか」

「だから言ったじゃん有意義な使い方が無いって。」

「確かにそうだったな。マジでしょうもなかった。」

「それできょう、次はどこに行く?」

「んんーーーーそうだなーーー。とこか行きたいところある?」

「特には、、、でも色んなもの見たいかなー」

「なら新大阪駅と泉南のイ〇ンにでも行くか。」

「そうだね!それで行こっか!」

そうして、新大阪駅まで戻ることになった。

 初夏、梅雨上がりの風が半袖で過ごすには妙に冷たくて、俺は身震いするのだった。


そうして俺たちは、新大阪駅まで戻ってきたのだが、

「さあ、どこに行こうか。」

「今日が行きたいところでいいよ?」

「ならちょっと前から見たかったロ〇トに行こうか。」

なんて話しながら歩き出そうとすると、急に寒気がして、後ろを振り返ると、


「あっれぇ。あいつ浹じゃね?」

そこには、昔俺を虐めていた×××達が居た。

「あぁ、あの変態野郎か。」

「そーだよあのキモオタ。」

「そいつそいつ、せっかく俺たちがオトモダチになってあげたというのに嘘ばっかり教師にチクリやがったクソマジメだよ。」

「自分がなんでも出来るって思い上がってたクズ。」

「そうそう、せっかく俺たちがイイコトしてやってたのに正義のヒーロー気取りでなぁ。」

×××共が何か言っているがそんな言葉も全く耳に入らなくて、立ってるのもしんどくて、視界がぐるぐると回し始めて、、、息、、、が、、うまく、、、、

「浹は悪くなんかない!」

急に、そんな声が聞こえた。


「いつでも誰かに寄り添ってあげていて、常に誰かのために動いて、自分なんかおざなりにしてしまう不器用なところもあるけど、それでも浹は間違ってなんかなかった!悪かったのは全部あんたらだ!このDQN共!」


そんなふうに言われて、何かが、もう分からなくなったナニカが、救われた気がした。


「あ゛ぁ゛?んだよこいつ、」

「意味わかんねぇな。」

「全部こいつが悪かったんだよ!だからガッコ来なくなったんだろうが!」

「そうだよ、あいつは犯罪人なんだよ!」


「人が嫌がってたことしてたのも金まきあげてたのも全部全部暴力で黙らぜただけだったじゃんか!そんなの仲良くしているなんて言えない!全部悪い事だ!」

「だからそれ自体が嘘だったんだろウザったるいなぁ。」

「そもそもこいつマジでなんなん?」

「邪魔だしぶっ飛ばそうぜ。もう突っかかれないほどにな!」

「いいなそれ!やってやろうぜ!」


それを聞いて俺は反射的に目を開けると、身の前でまつが、俺を庇うようにしてたっていて、でも、その足はとてつもないくらい震えていて、


プツンッ


「止めろ!!!!!」

俺はもはや無意識にまつと屑山の間に体を滑り込ませていた。


「おい屑山。俺だけならいい。でも俺の友人ダチに手ェ出すようなら容赦ァしねぇぞ」

「あぁ?雑魚風情が何言ってんだ?お前ごときで空手三段の俺様に勝てるわけねぇだろうがよ!」

そういっていつの間にか武器を持っていたやつら四人が俺に向かって突っ込んできた。俺は咄嗟に近くにあった鉄の棒(シャッター開けるやつ)を掴んで

「ぐあっ」

「おえっ」

「痛ってえ!」

「~~~~~!!!!!」

首、腹、頭、股間をぶっ叩いた。


「これでも俺、古武術の真剣術を習ってるからそこそこ強いんだよ。これに懲りたら二度とつっかかってくんな屑共が。」


とりあえずぶちのめしたけど、、、この後どうしよう、、、って、あっ、、、やばっ、、、気を抜いたら意識が、、、


ところでだが、後ろからものすごい熱い視線を感じるのは気の所為だろうか、、、、

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