第8話 ヤったか?
2回目の練習を終えて教室に戻ってきた俺。田辺さんの誘惑に負けてあそこを大きくした俺に対し、保坂さんは練習を続行すると言った。
練習をすればするほどドツボにハマる気がするが、それを言い出す勇気はない。
昼休み後の5限は体育なので、女子は更衣室・男子は教室で着替える。いつも通り1人で着替えを済ませてから、教室を出て靴箱に向かう途中…。
「よぉ目黒! ちょっと訊きたいんだけどさぁ~」
突然山内君に、一方的に肩を組まれる。
俺のクラスにはイケメンの阿部君と山内君がいるが、彼は“チャラい”イケメンになる。阿部君は“真面目な”イケメンだと思う。
今までの行動や発言を総合的に判断した結果だが、間違ってなかったな。
「…何ですか?」
話した事がない人には敬語が無難だ。何が刺激になるかわからない。
「何で敬語なの? まぁそんな事はどうでも良いや。お前、保坂さんと美穂の3人でヤったか?」
美穂って誰だ? と思ったが、保坂さんと一緒に名前が挙がるのは田辺さんしか考えられない。2人はそれなりに親交があるっぽいな。
「ヤってないですよ…」
「ホントか? オレは花道さん達とヤったぜ。放課後の教室でな」
山内君も練習を希望して、2人の女子に選ばれていたっけ。イケメンは気軽に誘えるし、成功率も高くて羨ましい。
「お前が女子に選ばれるなんて、2度とないかもしれないぜ~?」
この発言にはさすがにイラっとしたものの、否定する事はできない。女子と接点がない事が、同性の山内君にはわかるんだろう。
「……」
「保坂さんは真面目だが、案外押しに弱そうだ。無理そうなら、ビッチの美穂に遊んでもらうのもアリかもな」
ここまで聴けば、2人の関係は大体予想できる。Hした事があるみたいだ。
「この機会、活かすも殺すもお前次第だ。 …じゃあな」
好き放題言ってから、山内君は俺から離れて行った。
今日の体育は外でやるバレーボールだ。3チーム総当たりのため、1チームは余る事になる。俺がいるチームはまさにそれだ。
試合をのんびり眺めながら、さっき山内君が言った事を思い出す。
保坂さんと田辺さんを誘う? そんな度胸や勇気があるなら陰キャになってないぞ!
山内君は間違いなく陽キャだな。俺とは正反対の人間だ。
しかし、練習をどう活かすかについては考えさせられる。今の状態で練習が終われば、女子と関わらない以前の俺に逆戻りだ。
それは、さすがに寂しいというか残念というか…。少なくとも戻る事を待ち望んでる訳じゃない。古い表現になるが、俺も“リア充”になりたいぞ!
そのためには、お堅い保坂さんではなく田辺さんとの距離を縮めたほうが良いだろう。彼女はビッチだから男慣れしてるはずだし、ハードルは低め…のはず。
…体育教師が鳴らすホイッスルの音が聞こえた。どうやら試合が終わったようだ。今度は俺がいるチームが、勝者のチームと試合する事になる。
気乗りしないけど、気分を入れ替えて頑張るか!
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