第5話

「お客様こちらへ」

 列が少しずつ消化され進んでいくとスッタフの人に案内される。

「フルダイブの適性診断をお願いいたします」

 そう言って定員さんは俺と聖香にそれぞれ一つずつゴーグルを渡す。

「お、、兄、ちゃん」

 聖香がどうすれば良いのかわからないという様子でこちらを見る。

「これを頭にはめてみてごらん?」

 俺は自分がゴーグルを着けて聖香にお手本を見せてあげる。

「ん、わか、った」

 ゴーグルを着けると外の世界から遮断されたようなまるで別世界に居るような感覚になった。

『Biological information: collection』

 という文字の羅列が浮かぶ。

 翻訳すると、 生体情報 収集 だ恐らく今心拍、血圧、脳などの作りを調べられてフルダイブに適性があるかの診断が行われているのだろう。

 なぜこんな事を行うのかというと、フルダイブ型VRには体質の問題などで一定数使えない人が生まれてしまうのだ。

 それでせっかく買ったのに使えないとなるとただのお金の無駄遣いだからこの様な診断を受けることになる。

『Diagnosis completed: Applicable』

 どうやら終わったらしい。

 これを見るに適性はあったみたいだ。

 俺の耳が『ガヤガヤ』としてデパート客の声を聴き取りフルダイブの適性診断が終わったと確信する。

「お客様どちらも十分に適性がありますね!こちらへお進みください」

 どうやら聖香は俺よりも先に終わっていたらしい。

 そうして聖香と一緒に再び次の列へと並ぶ。




 しばらく並ぶと商店街にあるような回すと玉が出てくる、くじ引きが乗ったテーブルまで辿り着いた。

「お客様2名様ですね、それでは2回くじ引きをどうぞ」

「聖香に任せるよ」

 俺はこれ系はからっきしダメでゲームのガチャなども排出率に対して俺が引ける数が少なすぎるのだ。

 ちなみに俺がガチャで最高レアを出そうとすれば天井は免れない……。

 悲しきかな。

「え、あ、っ、うん」

 聖香が困惑しながらもガラガラとくじ引きを回す。

 『コロコロ』っと玉が出てくる。

 色は―――。


 金色。


 当たり?金色は当たりじゃね!?

 恐る恐る店員さんの、顔を見てみるとフリーズしていた。

 あっ、これ外れだ。この反応は外れの顔だな。

 まぁ、そんな簡単に当たらないよな―――。

「おめでとうございます!!」

 『カランカラン』と置いてあったハンドベルを店員が持って鳴らす。

「オリエント・アリア・ファンタジーのソフト付きフルダイブ型VRゴーグルのペアセット購入権です!」

「え、マジ?」

「マジです!マジ!!」 

「聖香、当たりだって!」

「ほん、と?」

 聖香引き運強すぎっ!

 俺が無い分は聖香に吸われていたのだろうか?

「後日郵送でご自宅にお送りしますので氏名、郵便番号と住所をこちらにお願いします」

 店員さんからタブレット端末を渡される。

 俺はそれを受取り聖香と俺の名前を打ち込み郵便番号と住所を入力した。

 聖香と同じ名字を書くのは何だか不思議な気分だったが俺達が兄妹であることを強く実感した。

「聖香やったな!」

「う、ん、」

 聖香とハイタッチをする。

「ありがとうございました〜1ヶ月後ご自宅に伺います」

「わかりました、ありがとうございます」

 その後、デパートを沢山見て周り俺と聖香はデパートを出た。




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