第4話

「なん、とか着いた……」

 というわけで今俺は聖香と一緒にデパートに来た訳だが。ここに来るまでの精神披露がヤバかった。

 聖香がずっと腕を組んできたのは大丈夫では無かったがまだ大丈夫だ。

 というか役得(?)

 だけどやっぱり聖香はめっちゃ可愛いわけで現在進行系で視線を集めている。

 少しでも耳を澄ませば……。

―――何あの子可愛すぎる〜!

―――あの人たち恋人?

―――なになに〜?芸能人?

 と噂されてるわけで気が気では無かった。

「服……から行きたい」

 聖香が俺に言う。

「わかった!服屋からいこう」

 そうして、デパートの中を進み服屋に着く。

 女性向けの服があるところに辿り着いたが……。数多っ!?種類多っ!?

 え、ここから選ぶの?

「お、、兄、ちゃんの好み、の服が良いな」

 マジで?母さんから服については口酸っぱく言われてきたけど知識だけで結局、私服はジャージの俺に任せちゃう?

 う〜ん……。

 とりあえず、これと、これと、これ?

 下はキュロット・ショート・ハーフパンツこれが聖香には似合うと思うけど……。

「聖香、これ着てみてくれない?」

「ん、わかった」

 俺は取った商品を聖香に渡す。

「じゃあ、待ってるよ」

 聖香が試着室に入る。

 待っていると試着室から声がした。

「着れ、た、、よ」

 シャーっとカーテンが開く。

「っ!良いんじゃない?可愛いと思うよ」

 ヤバい、聖香が可愛すぎる。ていうか聖香は素材が良いから何着ても似合うでしょ。

「良か、った、」

「次も着てみて!」

「ん、」




 あの後、聖香に色々な服を着せてみたけど可愛すぎて最初よりかなり数が増えて、上下それぞれ10着とジャージ(半袖半ズボン込み)を2着、それに下着とタイツを買ってお会計はかなりの額になったが母さんから生活費と言ってクレジットカードを預かっていたので特に困ることもなかった。

 余談だが、女性の下着コーナーに聖香に連れて行かれたときの記憶は消し飛んだ。

 『んぅ、どっ、、ち、が好み?』なんて女性の下着について男性に言うものでは無いと思うのはたぶん間違っていないだろう。

 うん、俺はおかしくない。

「聖香、ちょっとデパートの中もう少し回ってみよ」

「ん、」

 デパートの中を巡っていると。

「来月、世界初フルダイブ型!VRファンタジーゲーム❨オリエント・アリア・ファンタジー❩発売!購入権の抽選を行っています〜!」

 フルダイブ型VR。5年ほど前に日本とアメリカの企業が協力し創り上げた機械。

 脳に直接アクセスし人間の五感を仮想現実に完全再現する技術だ。5年の間に少し高いが一般人にも手が届くようになり小型化のお陰で『一家に一台』とまで言われるようになった製品。

 しかし、ゲームの王道であるRPG系のソフトはリリースされておらず、モンスターを倒す表現や地形データの読み込みなどをどうするかと議論されてきた。

 けれど、つい先日フルダイブ型VRを作った日本とアメリカの企業の開発陣が遂に実現させた。

 横を見ると聖香の視線が縫い付けられたかのように『仮想現実』と掲げられた看板に向いていた。

「聖香買うか?」

 とは言っても、抽選に当たらないと買えないが。

「う、ん、、並びたい!」

 聖香が珍しく声を大きくする。

「よし、並ぶか!」

「ん、」

 そうして俺達は行列ができている列に並んだ。




――――――――――――

VR要素追加までもう少しです!

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