第3話
トイレで心を鎮めた俺は家に予備の歯ブラシが一本あったことを感謝して自分と聖香の歯磨きをした。
なんか聖香のこと全部俺がやってね?と思ったが、今日だけは良いだろうとやってあげた。
「寝るか」
「うん―――」
と、いうかこれ聖香と一晩同じベッドで寝ることにならない!?え……俺の理性君は今日24時間勤務となりそうだ。
困った……。
「俺、ソファーで寝―――「ダ、メ一緒、、が良い」」
こうなるのは知ってた。
「うん、わかったよ」
家の電気を消して俺は聖香と一緒に自室へと向かった。
「聖香、電気消すぞ〜」
「、ん」
俺は部屋の電気を消して聖香と二人でベッドに横たわる。
でも、母さんがサイズを間違えてシングルではなくダブルを買ってきたことがここで役立つとは……。
母さん、お陰様で2人で寝ていても狭くありません。ありがとう。
きっと、母さんもこうなることは予想してなかったんじゃ無いかな。
聖香と向かい合う形になったが部屋の電気を消したからお互いの顔が見えない。
『ギュッ』聖香に抱きつかれる。
「今日だけ―――、今日だけは、許して……私を一人にしないで―――」
今にも泣きそうな声。
俺も今にも消えてしまいそうな、折れてしまいそうな聖香の事を軽く抱きしめ返した。
お互いに抱き合ったことで顔が近づき電気を消した暗闇でも窓から差し込む月光が照らし少し顔が見える。
どうやら聖香は疲れてしまったのか『スー、スゥー』と寝息を立てながら眠っていた。
整った容姿、綺麗なスタイル、そして月光を反射させる白髪。突如俺の前に現れたこの天使の過去には一体なにがあったのだろうか……。
「いつか知れたら良いな」
たった、1日どこからやってきたかもわからないけど、どうしてか聖香を護ってやりたいと思ってしまう。支えになってあげたいと。
きっと、これは母さんのお願いだから、なんて簡単な理由じゃない―――。そんな気がした。
少し目を瞑ると、一気に眠気が押し寄せた。
俺も疲れていたんだな。
今日1日がどうか夢じゃありませんように。そう願って俺の意識は落ちた。
窓から朝日が差す。
「んぅ……」
『チュンチュン』外から鳥の鳴き声が響く。
これが朝チュン……。(断じて違う)
横へ視線を送ると俺の腕の中に白髪の天使が心地良さそうに眠っていた。
「朝ご飯作りますかね」
俺は聖香を起こさないようにそっとベッドから降りる。
キッチンへ向かい冷蔵庫を覗く。
ふむ―――。
フレンチトーストとベーコンエッグを作るか。
卵を溶き、牛乳・砂糖などを入れた液を作る。この間パン屋で買ってきた食パンを2枚カットしてフォークで穴を空けて液に浸す。
食パンに液が染み渡ったかな?という所でフライパンにバターをIn!『ジュワジュワ』と黄色いバターの油がフライパンに広がる。
キッチンにバターの匂いが充満。なんともいい匂いである。
バターが泡々となったので液に浸してあった食パンをフライパンの上に並べた。
フレンチトーストを焼いてる間にもう一個フライパンを出して油を塗る。
冷蔵庫からベーコンを取り出してフライパンに置くと。『ジュージュー』とベーコンが焼けいった。
美味しそう―――ジュルリッ……。
卵を2個出して割り、入れる。そして、フライパンに蓋を。
フレンチトーストの片面がいい感じに焼けたので裏返す。
少ししてフォークトーストもベーコンエッグも完璧に焼き上がった。
俺は食器棚から少し大きめの皿を2枚取って盛り付ける。
「おしっ!完成」
聖香を起こしに行こうかな。
「聖香〜起きてるか―――って、どうした?」
部屋に行ってみると聖香がベッドの上でちょこんと座っていた。
「ん、」
「おはよう!聖香」
「抱っこ―――」
「……?」
「抱っ、こし、、て―――」
寝ぼけてるのか?気のせいか機能よりも聖香の目がトロンとしている気がした。
「しの、は姫様、、だよ―――?」
聖香って自分のことを『しの』って呼ぶん
だ。新発見。
「姫様の言う通りに」
俺は聖香を抱き上げる。お姫様抱っこと呼ばれるやつだ。
そのままリビングまで運んでいき食卓の椅子に座らせる。
「じゃ、食べようか!」
「んぅ、いただきます」
「いただきまーす!」
『カリッ』とフレンチトーストの出来栄えは耳はカリッとしていて中はフワフワで味が染みていて美味しい。
ベーコンエッグもベーコンはジューシーで卵が思った通りの半熟になっていて良かった。
「「ごちそう様でした」」
「聖香、今日一緒に買い物行こう?服とか色々」
「ん、わかった」
俺達は朝食を食べ終わった後支度(といっても食器を片付けただけ)をして買い物のためにデパートに出かけた。
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