第4話 動物園でも開いたほうがいいと言うのだろうか?



私と幹也はそれから村の中の家を一軒一軒見回り…亡くなっている人達を埋葬していった。


村にいる人は私達以外の皆が老人だった、老人たちは争ったらしき跡もあったがゴブリンにやられていた。


私と幹也がもっと早く行動していれば助けられたのかと思うと心が痛いが、今何を言ったとしても過ぎた時間は戻ってこないのだ。


…戻ってこないことをくよくよ考えても意味がないことはわかっている。


わかっているんだけれど、考えない事をやめられない。


どれだけ強がっていても、私は結局の所…弱いのだ。





最後に公民館を見たが、私たち以外は誰もいなかった。


知ってる顔は皆…骨となり土の中に埋葬されたから当たり前なんだけど。



私と幹也は公民館でお互いのステータスを見せ合おうとした。が、お互いのステータスのボードは見ることが出来なかった。


「ふむ、見られることがないのはいいが…めんどくさいな」


「まぁ、隠したいことがある人は嬉しいだろうねーこれ」


そう言った幹也の顔色はだいぶんまともになっていた。





私のステータスがゴブリンを倒した事により色々と変わっていた。



『実々崎 鏡花


種族 人間 

レベル 3


HP 150

MP 150


スキル 狂い咲き 召喚 備蓄 

    相互回復 チーム


称号 魔物を屠るモノ

              ▷  』



どうやらHP、MPは50ずつ上がっているみたいだ。


多分、体が楽に動いたのはこの数値が上がったからかもしれない。


(本当にそうなのか?HPは妹のしていたゲームだと体力のようなものだったが…うーん?ゲームをしないからよくわからないな)



そして、スキルが二つ増えていて、称号が増えている。


スキル相互回復はどうやら幹也と私しか使えないらしい。


今の状況で怪我をして動けなくなるのが一番怖いので、このスキルは喜ばしい事である。


(お互いが回復できるのは大きいな…。)


チームはチームスキルを持っているもの同士で組むと経験値などが分散されるらしい。そして、お互いがいる位置が大体わかるようになる。




「幹也。チームのスキルは取れているか?」


「ん?取れてるけど、組む?」


「そうだな、互いに場所がわかることはメリットでしかない」


「なんだか束縛の強いカップルみたいだな」


「お前は何を言っている…?」



意味のわからない事を言う幹也の言葉を軽くあしらい、私はチームスキルを使い、幹也とチームを組む。


すると、視界の端に矢印が浮かんでいることに気がつく。


矢印の方を向くと幹也がいる。幹也の方を向くと、その矢印は消えた。


幹也とは違う方向を向くとまた矢印が端に現れる。


「どちらにいるのかが、わかるのはいいな。」


「俺的にはもう少し精度が欲しいけどねー」


そう言われて考えてみたが、視界の端に地図が出てきたとしても、慣れてない今は邪魔だろうと思ったのだった。





そして私は魔石を手に入れたのでずっと気になっていた召喚をしてみる事にした。


「召喚 × 1」


まずは一つ入れてみる。


パアァ


すると、私の目の前に突然紫色の小さな魔法陣が現れる。


…。


そこから現れたのは 小さな蝶だった。


「これは、どうしたらいいんだろうな」


「綺麗だねーって感じだねぇー」


確かに模様は綺麗だ。ただ、この蝶で何をしろと?




「召喚 × 2」



もう一度してみる事にした、今度は魔石を二つ入れる事にした。


パアァ



また目の前に紫色の魔法陣が現れる。



…。



「モルモットか?」


「おい嘘だろ?これはジャンガリアンハムスターだよ」




「召喚 ×3 」


パアァ



「チワワか?」



「ダックスフンドだよ」





「召喚×4」



パアァ



「しば犬だ!」



「土佐犬だよぉ!」




「…魔石がなくなった。」


「そんな顔するなよ…俺の使い道今んとこ無いし、あげるからさ」


「す、すまない」




「召喚×5」


パァア


「おお!これは!狼か!」



「…シベリアンハスキーな」




「召喚×6」


パァア



「大きな猫か?」



「豹だね」




私の周りでたくさんの動物が思い思いに行動している。まるで動物園である。



「鏡花は驚くほど動物の知識がなかったね」


「動物の名前がわからなくても生きて行けるからな」








この動物で、私は何と戦えと言うのだろうか?

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