第2話 片鱗
乃蒼は生後1ヶ月を過ぎた頃から
一切泣かなくなった。
心配になった天龍と凛は何度も病院へ
足を運んだが何も異常が見られなかった。
天龍と凛の不安は拭えなかったが
乃蒼の成長をただただ見守ることしか
できなかった。
そんな心配を他所に乃蒼はすくすく育った。
そして、1歳を過ぎた頃事件は起きた。
.........
.....
..
令和7年
夏の暑さが寂しさを残し消え
秋の気配を少しずつ感じられる頃
乃蒼の姿が消えた
まだ1歳を過ぎたばかりの子どもが
1人で居なくなるなど考えられない。
天宮家総出で三日三晩探し続けたが
乃蒼は見つからなかった。
父 天龍の気配察知にも反応しなかった。
母 凛は泣き疲れ放心状態だった
天宮家の広大な敷地は46ヘクタール
東京ドーム10個分に値する。
天龍の気配察知は敷地全体へ張り巡らせたが
一切乃蒼の反応はなかった。
皆、途方に暮れ諦めかけていたとき
テレビからあるニュースが流れてきた。
皇組(すめらぎぐみ)の崩壊である。
皇組は天皇陛下直轄の武装集団で指示
一つで殺人から強奪、テロに至るまで
様々任務を遂行する無慈悲な組織だ。
ニュースを見た天龍は唖然としていた。
天龍『戦力は我々以上の皇組が崩壊....?
一体なにがあったんだ』
凛『そんな...ありえないわ。天宮家と
並ぶ皇組が壊滅なんて....』
天龍・凛『!?』
刹那、信じられない光景が
画面に映し出される
『こちら崩壊した皇組の総本山です!!
見て下さい!組は焼け野原です!!
子どもの泣き声!?』
『おい!!子どもがいるぞ!!!!』
『助けろ!!!!』
炎の中から救出された少女は乃蒼だった。
そして一切泣かなかった乃蒼が泣いていた。
........
.....
..
天龍と凛は急いで乃蒼の元へ転移する。
天宮家の地下には、古くから継がれてきた
転移門があり一度一場所へは転移する
ことができる。
天龍・凛 『乃蒼!!!!!!!!』
2人は乃蒼を抱きしめる。
後からわかった事だが、皇組は天宮家を
滅ぼすため乃蒼を誘拐したのだが
何者かに全員殺されたのだ。
死体は見るも無惨な姿で人の原型を
していなかったそうだ。
何かプレス機の様なもので押し潰された
ようだと報道された。
天龍と凛は乃蒼が見つかった喜びで
気づかなかったが
救出された乃蒼は傷や汚れ一つなかった。
次回 第3話 傀儡
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